雑誌
論文ねつ造で辞めた東大教授「福島で(反省)ボランティアの日々」
「両親が福島県出身ということもあり、被災地の役に立ちたかった」と語る加藤氏。東大農学部出身だ〔PHOTO〕吉田暁史

「毎晩酒びたりで、アル中の一歩手前まで落ち込んだこともありました。いまでも精神安定剤がないと眠れないほど、動揺しています。とにかく申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 東京大学・分子細胞生物学研究所元教授の加藤茂明氏(54)は、本誌の取材に涙ぐみながら頭を下げた。「東大開学以来、最悪の不祥事」といわれる論文改ざん・ねつ造問題の責任者である。

 7月25日、東大の内部調査委員会が、加藤氏のグループの論文165本のうち、43本にデータの使い回しや合成の疑いがあると発表した。本誌が入手した調査資料には、「明らかな改ざん・ねつ造」「悪意をもって多重使用した可能性が高い」という報告が並んでいる。加藤氏は日本を代表する分子生物学者であり、一連の研究には20億円を超える公的研究費がつぎ込まれてきた。今回の不祥事は、東大全体の信頼を揺るがせている。

「私の管理が甘かったので、研究室の一部のメンバーが暴走してしまった。言い訳がましいかもしれませんが、私はずっと性善説で生きてきました。部下の一部が論文データを改ざん、ねつ造しているなんて思いも寄らず、チェック機能がまったく働いていませんでした。私自身がアナログ人間なので、画像処理でデータが操作できるなんて想像もできなかった。すべての責任は私にあります」

 加藤氏自身は画像の改変にタッチせず、実験結果に助言したり、論文を修正する役割だった。研究室には50人ほどのメンバーがいたが、不正に手を染めていたのはそのうちの一つのグループであり、13人ほどのメンバーだという。