読書人の雑誌『本』
『わが子がぐっすり眠れる魔法のスイッチ』訳:土屋京子
寝た子を起こす!?─眠り上手な赤ちゃんを育てる極意

両親からくりかえし聞かされた話によると、わたしはかなり「手ごわい泣きむし赤ちゃん」(引用部分は『わが子がぐっすり眠れる魔法のスイッチ』より。以下同じ)だったらしい。寝つくまで一時間も二時間も泣き、やっと眠ったと思ったのもつかの間、三〇分もしないうちに目をさまして、また一時間も二時間もビィビィ泣く、という日々の連続だったらしい。

途方に暮れたわたしの両親は、夜な夜な近所のパチンコ屋のネオンサインを見せに赤ん坊のわたしを抱いて散歩に出たという。そして、両腕に抱いた赤ん坊をさざ波に揺られる小舟のごとくゆらゆらと揺らしながら寝かしつけ、眠った赤ん坊を家に連れ帰ったあともゆらゆら揺らしつづけながら、しだいに布団に向かって高度を下げていき、いつ着地したか赤ん坊が気づかぬようそっと布団に寝かせたのだという。眠っている赤ん坊の枕元についたてを立て、家族全員が戸の開け閉てにまで細心の注意を払って、足音も立てぬようにしていたらしい。

大切に育ててくれた両親の愛情には心から感謝しているが、『わが子がぐっすり眠れる魔法のスイッチ』の著者ハーヴェイ・カープ先生(小児科医、育児専門家)によれば、両親の子育てのうち、ゆらゆら揺らしながら寝かしつけた部分は半分だけ正解、家の中をし〜んと静かにしておいた部分は間違い、ということになる。パチンコ屋のネオンサインが赤ん坊を安らかな眠りへ導くものかどうかについては、カープ先生は言及していない。

「ゆらゆら抱っこ」しながら赤ちゃんを寝かしつけるのは理にかなった正しい寝かしつけ方であると、カープ先生は書いている。赤ちゃんは子宮の中にいるあいだ母親の動きに合わせて小刻みに揺れていたから、それに近い動きを再現してあげると、「鎮静反射」という反射の働きで、安心して眠りに落ちていくのだという。

ただし、眠った赤ちゃんが目をさまさないようそっと布団に軟着陸させるのは、カープ先生によればNGである。そっと寝かせるどころか、おっぱいを飲んだあと満腹して眠っている赤ちゃんのおむつを替えたり、おでこを冷たい手でさわったりして、ベッドに下ろす前にわざと「ほんのちょっとだけ赤ちゃんの目をさましてあげてください」と、カープ先生はアドバイスするのである。

やっと眠ってくれた、やれやれ・・・・・・と思っている新米ママやパパにしてみれば、「冗談でしょ、せっかく赤ちゃんが眠ってくれたのに、それをわざわざ起こすなんて!」と言いたくなるところだが、「ここが赤ちゃんを眠り上手な子にするための大切なポイントです」と、カープ先生は強調する。

「ミルクをたっぷり飲んだあと、赤ちゃんはミルクで酔っぱらったような状態になっていますから、揺らして起こしても、ほんの数秒くらい目を開けるだけで、すぐにまた眠りに戻っていくでしょう。(中略)赤ちゃんが少し目をさまして朦朧としている数秒間こそ、自分ひとりで眠りに戻っていくことを赤ちゃんに教えてあげる大切な時間なのです。いまのうちに、ぜひ、この練習を積んでください。数週間後には、かならず大きな成果となって戻ってくるはずです」

 
◆内容紹介
赤ちゃんの夜泣きに悩まされる新米パパ、ママに朗報!
あの画期的な赤ちゃんの夜泣き対策本『赤ちゃんがピタリ泣き止む魔法のスイッチ』が、パワーアップして帰ってきた。前書では生まれてから5ヵ月ぐらいまでの赤ちゃんにしか対応していなかったが、本書は生まれたばかりの赤ちゃんから5歳児までの夜泣き、むずがり、かんしゃくなどさまざまな問題を解決する方法をあますことなく伝授してくれている。
これさえ読めば、我が子の気持ちが手に取るようにわかること間違いなしだ。赤ちゃんや幼児の心理を理解して、ハッピーな子どもに育てよう。