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機械と人間との関係が変わる---ガートナーの技術トレンド・レポートより

「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2013」より

世界的な技術調査会社である米Gartner Groupは先日、今後の技術トレンドを占う「Hype Cycle for Emerging Technologies 2013」を発表した。

同調査は、技術に関する多数の流行語を、幾つかのフェーズに分類したものだ。具体的には、上の図で表現されている。

この図を見ると、今、最も注目され、過剰とも言えるほどの期待を浴びているのは「ビッグ・データ」「3Dプリンタ」「ウエアラブル・コンピューティング」など。一方、「クラウド・コンピューティング」や「NFC(Near Field Communication: 近接無線技術)」、「拡張現実(Augmented Reality)」などは一時の熱が冷めて、今はむしろ幻滅期に入っていると分析している。

さらにピークを間近に控えた上り坂の技術として、(全てのモノがインターネットにつながる)「Internet of Things」や「自然言語による質疑応答」などを挙げている。

これらの見解は概ね衆目の一致するところだが、ただ一つ「クラウドが幻滅期」という見方には業界内で異論が多いようだ。

確かに著名なクラウド・サービスがダウンしたり、ハッキングされるなどの事件・事故は起きているが、それを差し引いてもクラウドの便利さは遍く認識され、普及のペースに衰えは見られない。従ってクラウドは幻滅期というより、今や単なる流行語を脱して、IT産業にしっかり定着したと見るのが妥当だろう。

ウエアラブルや知的ロボットに着目

1995年から毎年恒例となっている同調査だが、今年は特に「機械と人間との関係」に注目している。具体的には:

●「グーグル・グラス」のようなウエアラブル・コンピュータによって、人間の生理的能力が強化されること
● 倉庫で荷物を運搬するロボットなど、機械が人間の重労働や単調作業を代替してくれること
● IBMの質疑応答コンピュータ「ワトソン」が医師のアシスタントとして働くなど、知性を帯びたマシンと人間が協調して働くようになること

などの事例を上げて、機械と人間との関係が今、新たな局面に入りつつあることを説明している。

もっとも、歴史的に見れば、絶え間ない技術革新によって、機械は人間にとって使い易く、寄り添い易いものへと常に進化してきた。従って「機械と人間との関係」が変化するのは、何も今に限った話ではないとする見方もあろう。 

しかし、ウエアラブル・コンピュータやAI(人工知能)など、ある種の技術革新によって、変化のペースが勢いを増す時期がある。「機械と人間との関係」が飛躍的に変化するのが今だとすれば、大きな技術トレンドとして特筆する意味は確かにある。

それはユーザーのみならず、製品を送り出すメーカーをはじめ企業側にとっても大きな意味を持つ。なぜなら、それらの技術革新は見慣れた製品に画期的な付加価値を与えて、強力な新商品へと生まれ変わらせることができるからだ。昨今の「ぶつからないクルマ」「ロボット掃除機」「人と会話するスマートフォン」など、そうした事例は既に次々と現れている。

この先に何が生まれ、それはどこまで広がるか? 今、「機械と人間との関係」を再考することは、成熟・停滞期に達したとされる日本のモノづくりに新たな活力を吹き込んでくれるはずだ。

著者: 小林雅一
クラウドからAIへ アップル、グーグル、フェイスブックの次なる主戦場
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秘書のように問いかけに応えるスマホ、自動運転車、ビッグデータ---。時代を読み解くキーワードは「クラウド」から「AI=人工知能」へ。人間が機械に合わせる時代から、機械が人間に合わせる時代が到来しつつある。IT、家電、自動車など各業界のAI開発競争の裏側を描きつつ、その可能性と未来に迫る。

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