サッカー
二宮寿朗「仙台のエールに見た日本の応援文化」

試合が終わればノーサイド

 春先、小学1年生になった長男の運動会に行った。筆者が生まれ育った四国の片田舎の小学校であろうが、都会の小学校であろうが、または昭和であろうが、平成であろうが、運動会の競技、演目というものはあまり変わらないようだ。かけっこ、器械体操、球入れ。そして見ているほうも気持ちが清々しくなるような応援合戦もあった。

「赤組が勝つ! 白組もガンバレ!」「白組が勝つ! 赤組もガンバレ!」

 法被を着てハチマキを巻いた応援団長が2人、大声でお互いにエールを送る。赤の帽子をかぶった息子も、元気いっぱいに「白組ガンバレ」と甲高い声で叫んでいた。
 礼に始まり、礼に終わる武道に代表されるように、相手を尊重する。そんなスポーツ文化がこの日本にはある。無論、いい文化だと筆者は考えている。

 8月17日、Jリーグの柏レイソル対ベガルタ仙台戦。柏のホームで行なわれた一戦はスコアレスドローに終わった。試合後、ひとつのドラマがあった。翌週の水曜日(21日)にアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦を控えた柏イレブンに対して、仙台のサポーター席から横断幕が上がったのだ。

「日本代表柏レイソル ベガルタの分まで ACLを勝ち進め!!」

 異例とも言うべき、敵チームからの激励であった。ACLに出場した4チームのうち柏以外の3チーム(仙台、広島、浦和)はグループリーグで敗退していた。自分たちの思いばかりでなく、優勝から遠ざかっている日本勢の奮起をこめたエールだった。試合中は敵であっても、試合が終われば、選手のみならず、サポーター同士もノーサイドということだ。柏イレブンは仙台のサポーター席に挨拶に出向き、日立柏サッカー場は大きな拍手に包まれた。夏の夜の、素晴らしい出来事だった。