金融・投資・マーケット
消費税増税、チャイナリスク、証券優遇税制廃止、NISAーー今後のお金の運用戦略をどうするか?

 日経平均で見ると、「アベノミクス」と「異次元緩和」を囃して1万6000円寸前まで上昇した株価は、5月23日以来大幅な調整(下落)局面に入り、その後、持ち直したものの、V字回復とまでは行けずに、目下、1万3000円台で推移している。

 株価に影響の大きな為替レートは、相変わらず株価とほぼパラレルに動いていて、ドル・円で見て、103円台までドル高・円安が進んだものの、こちらも5月23日を境に急激な円高が進み、一時は93円台まで落ち込んで、現在、98円前後で取引されている。

 株価についても、為替レートについても、「予想が簡単なとき」などめったにないのだが、これからどちらの方向に向かうのか、判断が難しい時期に差し掛かっているように思われる。

★日経平均(過去1年)

★ドル・円為替レート(過去1年)

 現在の局面を大まかに捉えるなら、大規模な金融緩和に対して株価が上昇する第一段階を終えて、調整があったところ、ということになろう。過去にあった似た局面としては、1987年のブラックマンデーの後の株価下落が一段落した後の状況に近い。あの時は、国際的な影響に配慮して、87年、88年と日本は金融緩和と内需拡大が止められなくなったこともあり、いわゆるバブルを形成するに至るのだが、今回は、「インフレ目標2%」が達成されるまで金融緩和が止められない条件が似ている。

 ちなみに、経済政策としての金融緩和は、4?6のGDPが実質年率+2.6%、名目年率+2.9%、有効求人倍率が0.92倍まで回復といった数字をみると、少しずつ実体経済に対しても、緩やかに見えるが普通のペースで効果を表しつつある。

 ただし、継続的な賃金上昇を伴うマイルドな物価上昇の状況を作り出すためには、景気の拡大を続けて、失業率の低下(少なくとも3%台前半まで)を待たねばならないので、あと1年くらいは時間が掛かりそうだ。この間の景気の腰折れは、長年続いたデフレマインドを払拭するために、経済政策としては、ぜひ避けたいところだ。ともあれ、実体経済も、投資環境を考えるうえでは問題になるような状況ではない。

 さて、金融緩和の継続が保証されているとすると、上昇相場が1回の調整で終わるとは考えにくいと経験的には思うものの、気がついてみると、目先には幾つもの不安要因がある。

 思い浮かぶままに挙げると、(1)消費税率引き上げ問題、(2)米国FRB(連邦準備制度理事会)のQE3縮小の可能性、(3)中国経済成長率低下と混乱の可能性、(4)証券優遇税制廃止(12月末)の影響、(5)米国の財政の崖問題、などだ。

ベストは消費税率引き上げの先送り

 消費税率に関して、筆者は、引き上げを先送りすべきだという意見を持っているが、純粋に予想の問題としては、6割以上の確率で予定通りの引き上げが決まると考えている。

 目下、数十人の「有識者」に意見を聞いて報告書をまとめ、これを参考に安倍首相が判断するという異様な展開になっている。法案自体を検討する段階でやるような大袈裟な検討会をやっているので、引き上げを決めても、決めなくても、不自然に見える。ただし、今後、検討会で時間を掛けるうちにも、税率引き上げへの民間の準備の期限が迫る。「1%ずつの段階的な引き上げ」といった面倒な仕組みをこれから決めると、民間のシステムはかなり混乱しそうだ。

 消費税率の引き上げを予定通りに決めつつ、法人税の引き下げか投資減税、ついでに官僚と関連業界が喜ぶ公共事業も積み増しして、激変緩和措置をとるのではないか。

 そもそも、消費税に関する不透明感が出てきていながら、0.7?0.8%で落ち着いている長期金利を見ると、財政懸念で国債暴落といった可能性はごくごく小さい。財務省も、消費税率引き上げの手柄が先送りされることは心配していても、財政の危機を本気で心配しているようには見えない。

 筆者は、経済政策として、「激変緩和措置」よりも「消費税率引き上げの先送り」のほうが筋がいいと考えるが、贅沢はいえない。相場への影響を考えると、法人税率引き下げが株式の価値に直接影響することなどから見て、「消費税率引き上げでも、株価は大丈夫」の可能性が大きいと見る。

 繰り返し書いておくが、ベストは税率引き上げ見送りだ。消費税率引き上げによる来年の景気腰折れリスクは小さくないし、デフレ脱却に失敗した場合の経済的損害も大きい。そこまで来ると、株価にも良くない。安倍首相の英断に期待したい。

 とはいえ、2、3年のタームで見ると、消費税率引き上げを安倍首相が見送った場合、財務省の怒りを買って、政権が保たなくなるリスクが侮れない。この場合、アベノミクスも終わりに向かう方向性が出るので、投資環境は悪化する。

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