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2013年09月01日(日)

『大栗先生の超弦理論入門』(大栗博司=著)より
【第5講】 弦理論から超弦理論へ

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【第4講】はこちら

弦理論と超弦理論の違い

これまで話をしてきたのは南部と後藤が提案した「弦理論」についてでした。そろそろみなさんも気になっていることでしょうから、ここで、弦理論と、そこから発展した「超弦理論」の違いを説明しておきましょう。

素粒子の標準模型では17種類の素粒子を、物質のもとになるフェルミオンと、物質の間の力を伝えるボゾンとに大別します。

電子・ニュートリノ・クォークなどはフェルミオンです。そして、その間に働く電磁気力・強い力・弱い力を伝える光子・グルーオン・W粒子・Z粒子はボゾンです。2012年にCERNのLHC実験で発見されたヒッグス粒子もボゾンです。重力は素粒子の標準模型に含まれていませんが、未発見の重力子も、重力を伝えるボゾンです。

実は南部と後藤の弦理論には、ボゾンしか現れませんでした。前回、粒子を弦と考えることであらゆる粒子を一つに統一できると述べましたが、弦理論の時点では、電子やクォークなどのフェルミオンが含まれていなかったのです。

しかし、そのあと登場した超弦理論では、ボゾンだけではなく、フェルミオンも弦の振動状態として理解できるようになりました。そこが、弦理論と超弦理論の違いなのです。

「超空間」とはなにか

では、どのようにして弦理論にフェルミオンを採り入れることができるようになったのでしょうか。そのために考えられたのが「超空間」という空間です。

その名のとおり、超空間は普通の空間ではありません。では、「普通の空間」とは何でしょうか。普通の空間では、空間の中の位置を特定するのに、数字の組を使います。

たとえば、直線の上の点の位置は、一つの数字で決まります。この数字のことを「座標」と呼びます。平面の上の点の位置ならば、二組の数字が座標になります。このようにして場所を特定するのに必要な座標の数のことを「次元」と呼びます。直線は座標が一つですむので一次元、平面なら二次元です。

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