経済の死角

話題沸騰! あの『デフレの正体』の著者・藻谷浩介
「里山資本主義」で日本は復活する

2013年08月30日(金) 週刊現代
週刊現代
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 日本の足元でいま、人々を幸せにする全く新しい「経済の仕組み」が動き始めた。アベノミクスでも手に負えない問題を、一気に解決できる可能性もある。そんな「里山資本主義」って、一体なんだ!?

お金がなくても幸せ

「お金さえ持っていれば、水と食料に困らない。そんな"常識"が通用しないことを痛感したのが、東日本大震災でした。

 スーパーやコンビニに行っても、いつもそこにあるはずのものがない。交通網が麻痺しているから、誰も水や食料を届けてくれない。お金持ちも貧乏人も等しく、自分がいかに無力かを知り、生存の恐怖に震えました。

 われわれが信用しきっていたお金を媒介とする経済システム、お金さえあれば何でも買えるというシステムは、いとも簡単に機能しなくなる。そのことを痛いほどに味わったのが東日本大震災だったのです。

 お金が最も大事だというマネー資本主義の限界を知りながら、一方で、その限界にどう対処していけばいいのかわからず不安になっている。それが現在の日本の姿と言っていいでしょう。

 私はマネー資本主義を全面的に否定するわけではありません。しかし、お金さえ持っていれば幸せになれるという考え方に支配されている限り、多くの日本人が不安から解放されることもありません。では、どうすれば日本人はこの不安と訣別することができるのか。その一つの答えとして、『里山資本主義』を提唱したいのです」

 こう語るのは、地域エコノミストの藻谷浩介氏だ。氏がNHK広島取材班とともに上梓した『里山資本主義—日本経済は「安心の原理」で動く』(角川oneテーマ21)が、今年7月の発売から話題沸騰となり、ベストセラーになっている。

 里山資本主義というのは聞き慣れない言葉であるが、ざっくり言えば、お金がなくても安心・安全に生活ができる仕組みを作っておくという考え方のことである。そんなことは可能なのか、と思う方は多いだろう。

「勘違いしてほしくはないのですが、江戸時代以前の農村のような自給自足の暮らしに戻れ、という主義主張ではありません。もちろん、お金を一切使ってはいけないという極論を言いたいのでもありません。

 お金が乏しくなっても、水、食料、エネルギーが手に入り続ける仕組みを用意していくという実践であり、お金だけを頼りにするよりずっと安心で安全な未来を作り上げていく生き方にほかなりません。

次ページ  これをすでに実践しているのが…
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