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坂井直樹「デザインのたくらみ」
2013年08月30日(金) 坂井 直樹

建設ラッシュの続くタワーマンションは「ヒエラルキー発生装置」でもある

電車で通勤中、外を眺めると駅前にニョキニョキとタワーマンションの建設が進んでいる・・・という光景はもはやすっかりお馴染みであろう。かくいう筆者も現在は都内のタワーマンションに住んでいる。

ニューヨークをはじめとした世界の大都市と違って、地震リスクなどの要因から高層マンションに住む習慣がなかった日本では、本格的に建設ラッシュが始まったのが1990年代後半以降と、その歴史は浅い*1。しかし、実際にタワーマンションに住んでみると、社会のヒエラルキーの一端が垣間見えてとても興味深い。

タワーマンションの値付けは、当然ながら上の階に行くにしたがって高くなっている(しかし、単純に階やサイズだけではなく、たとえば「東京タワーが見える」とか「レインボーブリッジが見える」、「年に一度の花火大会が見える」といった景観価値など、様々な条件で細かく値段が決まっているのも面白い)。したがって、住人同士がエレベーターで顔を負わせる頻度が比較的多いタワーマンションでは、下の階の住民は上の階の住民に対してヒエラルキーの感覚を抱きやすいという現象が起きるのだ。

*1 タワーマンションの歴史は1974年に鹿島建設が、18階建てRC(鉄筋コンクリート)構造の社宅「椎名町アパート」を建設したことにはじまる。その後、住友不動産が21階建てのタワーマンション「与野ハウス」を建設後、各地にタワーマンションが建てられるようになった。ただ当時は日照権や敷地の問題が存在した。しかし1997年には国の規制緩和により建設基準法が改正され、小泉政権後の景気回復の後押しもあり、都心にタワーマンションの建設ラッシュが起きた。
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