官々愕々 正しい「野党再編」のあり方
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民主党、日本維新の会、みんなの党などの一部から、「野党再編」の声が聞こえる。前途は多難だが、その成否のカギは、昨年11月10日号の本コラムで述べた、「第四象限の党」ができるかどうかにかかっている。

「第四象限の党」とは何か。政党の基本政策を単純に分類するのは困難だが、今日の政治状況の中で、あえて二つの軸を用いて四つの分類を作ってみる。

内政、特に、経済・社会政策を横軸にとり、右方向を小さな政府派、左を大きな政府派としよう。小さな政府と言っても、今日の状況では単純に政府の支出を削減するだけというのは適切ではないので、「既得権と闘い、国を開き、個人の自立と助け合いを重視し、政府が助けるのは真の弱者だけに限定する考え方」が小さな政府派とする。TPPには賛成、国土強靭化計画には反対となる。

逆に、「政府の役割を重視し、既得権グループに寄り添い、弱者という名目で、高齢者、農家、中小企業などを十把ひとからげで助成する」のが大きな政府派だ。TPPには反対、国土強靭化には賛成で、いわゆるバラマキに親和性を持つ。

次に、外交・安保政策を縦軸にとり、上方向をタカ派、下方向をハト派としよう。タカ派は、憲法改正、特に9条改正に熱心だ。安保のために軍事力増強を重視し、中国を仮想敵国とみなし、集団的自衛権行使を容認する。ハト派は、護憲派が多く9条改正には反対ないし慎重。集団的自衛権にも反対ないし慎重だ。原発政策については、タカ派は安保政策の観点からも原発推進ないし維持の立場で、ハト派は脱原発の立場を取る。

こうして縦横二軸を境に政策を色分けすると、政策の選択肢は4つに分かれる。第一象限(右上)に小さな政府・タカ派、第二象限(左上)に大きな政府・タカ派、第三象限(左下)に大きな政府・ハト派、そして第四象限(右下)に小さな政府・ハト派となる。

野党を色分けすると、社民、共産が第三象限。公明と生活も大半が第三だ。民主は、第一、第二、第三にまたがる。維新の会は、第一が多そうだが、旧太陽系は第二が多い。みんなの党は第一が主流と見られていたが、最近は急速に第四にシフトしている。

さて、上記の二軸で野党再編を行うとどうなるか。民主、維新、みんなで再編という話があるが、今のままでは、四つの象限のどこを目指すのか全く明らかではない。

自民党は、ごく一部を除き第二象限が大半である。有権者にとっては、これに対峙する第四象限の野党が必要だが、今はそれがない。先の参議院選で、山本太郎氏が東京で当選し、全国で共産党が躍進した。その背景には、第四象限の有権者が、原発推進や憲法改正などへの不満を託す先として明確な第四象限の政党を見出すことができずに、不本意ながら第三象限の政党や候補者に流れたという面が大きいのではないか。

今、第四象限に一番近いのはみんなの党だが、まだ、はっきりしないところがある。維新は、タカ派が殆どで、原発推進が多数だから、みんなとの合流は難しいはずだ。民主でも、再編を唱える政治家は、前原誠司氏はじめタカ派が多い。そうした状況でやみくもに野党再編を唱えても、国民にとっては、明確な政策軸が見出せず、票の受け皿になりえない。

みんなの党の江田前幹事長は、第四象限の政党を目指すと言ったことがある。同党が本当に第四象限の政策軸を明確に掲げられるかどうか。そこに維新や民主などの少数派が結集できれば、三年後の選挙で一気に勢力を伸ばすことができるのではないか。

『週刊現代』2013年9月7日号より

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