政策選択肢を広げて国民政党になれなければ自民党の長期政権は保証されない
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自民党1強時代となり、安倍内閣支持率も高い。しかも、野党第一党である民主党は、再建から程遠い状態にある。みんなの党や日本維新の会は、内紛をさらけ出しており、野党勢力の大同団結は容易には進まない。公明党や共産党のような一枚岩的な組織政党を除けば、現行の小選挙区制度の下では中小政党の生き残りは難しい。

有権者から見れば、このような状態が好ましいわけではない。今の日本人の価値観は多様化しており、一党のみで、その多様な意見を反映させるのには無理がある。たとえて言えば、料理でも、和食、中華、フランス、イタリア、タイ、インド、ロシア料理と、私たちは、数多くの選択肢の中から、その時々で、好みや懐具合に合わせて、何を食べるかを決めている。政策とて、同様である。

再び現出した自民党一党優位制は長続きするか

二大政党制は、いわば2種類の料理のいずれかを選べと言っているに等しい。そのような無理のある選挙制度を採用しているのは、アメリカ、イギリス、ニュージーランドなど限られた国のみである。二大政党制の弊害を克服するには、二つの大政党が自らの政党内部に多様な政策メニューを持っている必要があるし、そうしてこそ国民政党の名に値する。

そうした国民政党のことを、"catch-all-party"と呼ぶ。総花政党と訳すことが多いが、英語のままのほうが、意味明瞭である。第二次大戦後、日本、ドイツ、イタリア、スウェーデン、イスラエルなどで、長期政権を担う政党が登場した。日本の場合は、言うまでもなく自由民主党である。

このような現象を、一党優位制と呼ぶが、裏側から言えば、それは野党の凋落ということである。野党が、万年野党で政策実行能力がない以上、政権党の中で、多様な政策選択肢が準備されることになる。そうしなければ、"catch all"、つまり多くの階層の支持を調達して国民政党になることができないからである。

自民党の場合、その多様性を担保したのが派閥であった。各派閥が切磋琢磨することによって、右から左までの政策を用意することができたのである。有権者は派閥を基準に候補者を選ぶことによって、万年政権党である自民党に、選挙の度に方向性を与えることができた。

たとえば、右の方に行きたければ中曽根派、左を好めば大平派という選択ができた。また、田中派が政治スキャンダルに見舞われれば、「クリーン三木」を選び、疑似政権交代状況を生み出した。これが、かつての自民党政権であり、中選挙区制がそのことを可能にしたのである。

小選挙区制や政党助成金が導入されてから、日本の政党政治は大きく変わった。そうした中で、今日、かつてのような自民党一党優位制がまた現出した。中選挙区制の下での派閥の競争に期待できず、執行部に権力が集中する状況では、多様な政策選択肢を提示することは難しい。それゆえに、今度の自民党政権が長期政権になるかどうかは、実は保証のかぎりではない。

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