[虎四ミーティング]
タケ小山(ゴルフ解説者)<後編>「日本のゴルフ界は大ピンチ!?」

野茂英雄が日本のゴルフも変えた

二宮: タケさんの最新著書『ゴルフは100球打つより見てなんぼ!』では、メジャーリーグに挑戦した野茂英雄投手が、日本球界のみならず、ゴルフ界も変えたことが触れられています。私も当時は野茂投手の取材で現地によく行きましたが、そんな波及効果があったとは知りませんでした。
小山: 野茂投手が渡米して、NHKがメジャーリーグの放映権と合わせて、PGAツアーの放映権を取得しているんです。当時はPGAツアーの日本での注目度は低かったので、セットで購入できたのでしょう。この話は早大大学院で勉強していた際、元NHKの会長で現在は日本ゴルフツアー機構の会長をしている海老沢勝二さんから聞きました。

二宮: その後、タイガー・ウッズの出現もあり、彼のプレーをテレビで観てゴルファーを志す子どもたちが増えてきました。松山英樹選手や石川遼選手の登場も、さかのぼれば野茂投手につながっていくわけですね。
小山: 野茂投手のおかげで、一流のプレーをライブで観られる環境ができたと言ってもいいでしょう。ファンはもちろん、選手にとっても世界のレベルを知る上で好影響を与えたと思っています。それまで日本で海外のゴルフを観られるのは、日本テレビ系列で放送していた「ビッグイベントゴルフ」くらい。しかも、1週遅れのダイジェスト版でした。

二宮: 日本のゴルフ中継は、国内ツアーも含めてライブで観るというスタイルではありませんでした。その点でも大きな転換点となったと?
小山: そうですね。ただ、まだ民放ではゴルフ中継といっても、基本は生放送ではありません。国内ツアーが地上波でライブ放送されるのはNHKが放送する日本オープンや日本女子オープンなど限られた大会だけです。PGAツアーに関しても、現状はNHKもメジャーリーグ中継がメインで放送がなかなかできないので、専門チャンネルのゴルフネットワークに権利を転売しているかたちになっています。スポーツを観る醍醐味は生の臨場感。日本でも生中継が増えてくると、ゴルフに対する見方も変わってくるはずですが……。

二宮: 生中継となると、伝える側の力量も問われます。編集が効かないので、競技を熟知していないと、目の前の素材を生かしきれないまま放送が終わってしまう……。
小山: ダイジェストで放送するのが主流だと、解説者も言いたいことの半分も言えません。これでは解説のスキルが上がらないんです。専門局のライブでは4日間で延べ12時間の放送枠になります。「はい、右に曲がりましたね」といった誰でもわかるような解説では視聴者を納得させられないし、間が持ちません。各ゴルファーやテクニックについて必死で勉強しないといけない。その緊張感がゴルフのおもしろさを伝えることにもつながっていくと思うんです。

二宮: タケさんの解説は米国での経験や、ゴルファーのさまざまなウンチクが盛り込まれていて定評があります。
小山: 解説をするのは楽しいですよ。今は専門局があるおかげで、自分の話したいことが話せる。一方で地上波の「サンデーモーニング」に出演できているのもありがたいです。それほどゴルフに興味がない方にも、おもしろいと思ってもらえるように毎回、頭をひねっているので、こちらもいい勉強になります。