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スクープレポート 高齢出産「本当のリスク」出生前の遺伝子検査で誤診が続出していた
ダウン症児を生んだ母親が、検査した医師を訴えた!

「健康ですよ」と医師から言われたわが子が、実は障害を持っていると分かったら。増え続ける高齢出産と、検査技術の進歩が引き起こした、かつてない医療問題とは—当事者の声をスクープする。

「心配ない」と言ったのに

「予定日より3週間早く、緊急帝王切開で小さく生まれましたが、産声をしっかりとあげ、ホッとして涙を流したのを今でもはっきりと憶えています。ですがその後、呼吸の状態が悪く、自力排便もできず、ダウン症であることが初めて発覚しました。何も言葉が見つからず、気持ちのやり場のない絶望感を味わいました」

 これは、北海道北斗市に住む母親・太田紀子さん(仮名、43歳)が、4人目の子ども(三男)を亡くした後に語った言葉である。

 晩婚化が進み、高齢出産が増える一方の日本。いま、お腹の胎児にダウン症など先天性の異常があるか否かが分かる、出生前の遺伝子検査を受ける母親が急増している。

 この検査はもちろん、高齢出産にともなう「リスク」を避けるために行われるものだ。しかし、もしその検査結果が間違っていたとしたら—出生前検査の「誤診」が、いま新たなリスクとして社会問題となりつつある。紀子さんのケースも、まさにそうだった。

 紀子さんは、三男の妊娠から17週を迎えた'11年4月14日、羊水検査を受けた。羊水検査とは、子宮を満たす羊水を採取し、そこに含まれる細胞から、赤ちゃんの遺伝子に異常がないかどうかを調べるもの。当時41歳と高齢妊娠だった紀子さんは、ダウン症などの異常を心配して、この羊水検査を受けることにしたのだ。

 検査の翌月、紀子さんが通っていた産婦人科・えんどう桔梗マタニティクリニック院長の遠藤力医師は、不安げな彼女にこう伝えた。

「結果は陰性でした。何も心配はいりません」

 紀子さんはそれを聞いて安心した。すでに3人の子どもをもうけていた夫妻には、障害を持つ子どもまで責任を持って育てる自信はなかった。もし異常があると分かれば、堕胎(人工妊娠中絶)も視野に入れていたという。

 そして9月、予定日より早かったものの、紀子さんは帝王切開で三男を出産した。その時の経緯は、冒頭の紀子さんの言葉の通りである。出産した病院の医師が赤ちゃんの異常に気付き、改めてカルテを確認したところ、遠藤医師のクリニックで受けた羊水検査の段階で、すでにダウン症と判定されていたことが分かったのだ。

 さらに、赤ちゃんには腸管閉塞・肝線維症・一過性骨髄異常増殖症など、ダウン症に関連する重い合併症があることも判明した。遠藤医師が夫妻に告げた「心配ない」との検査結果は誤っていたのである。