【財務 その5】 税制の抜本的な改革を! <歳入改革>
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バブル崩壊前の1990年、日本の税収は60.1兆円であったが、2013年には42.3兆円まで落ち込んでしまった。財政再建を成功させるには、聖域無き歳出削減と同時に、歳入の増加が不可欠だ。そのための経済成長戦略を進めるとともに、経済成長の果実を税収として着実に国庫に吸収させることが財政再建の上では極めて重要だ。

日本には重税感を感じている人が多いように感じられるが、OECDの統計で国際的に国民負担率(社会保障負担率+租税負担率)を比較してみると、日本は38.8%であるのに対し、アメリカは32.5%と低いが、イギリスが46.8%、ドイツが52.0%、スウェーデンが59.0%、フランスが61.1%と、欧州諸国に比べると日本は低負担国家であることがわかる。

GDPの約2倍もの累積債務を政府が抱えていることを考えれば、今後、財政再建に向けて国民負担率を上げていかざるを得ないだろう。しかし、その際に重要なのは、グローバル化している環境では、人や企業は、日本から他国へ出て行く選択肢も持ち合わせていることだ。したがって、国際的なスタンダードにあわせた税制が必要になる。

世界の税の潮流とは、具体的には、法人税の減税、所得税の課税ベースの拡大、消費税の増税などが柱になろう。

「税は国家なり」という言葉がある。人々や企業は、税制によってその行動を大きく方向付けられるからだ。グローバル化した今日において、経済成長の果実を着実に国庫に反映させるためには、国際的なスタンダードを意識した上での日本の税制改革が急務だ。

1.法人税を国税に一本化し、実行税率を25%まで引き下げを!

日本の法人税率は、昨年成立した税制抜本改革法によって国税が25.5%に引き下げられ、地方税と併せた実行税率は35.64%となっている。ただし、2015年までは10%の復興特別法人税が課されることになる。

諸外国の法人税実行税率をみると、欧米では、アメリカが約41%、フランスが33.33%、ドイツが約30%、イギリスが24%である。アジアでは、中国が25%、韓国が約24%、シンガポールが17%などだ。

昨今、国際的な法人税引き下げ競争に陥っていることを懸念する声もあるが、実際、グローバル競争の中で、アジア、欧州諸国では法人税の引き下げが行われ、特に日本が属するアジアの各国は、日本と比べて極めて低い法人税率を維持しているのが現状だ。

グローバル化され、企業が国境を越えて投資を行う世界において、日本の立地競争力を高め、国内に企業を誘致するためにも、法人実行税率の引き下げが必要だ。具体的な税率は財源との兼ね合いもあろうが、国・地方を合わせて25%程度が妥当な範囲であろう。

特に新たな投資を国内に引き込むために、特区を利用して期間を区切った大胆な法人税率の引き下げも取り入れるべきだ。法人税収は景気に大きく左右されるのが特徴だ。日本では、法人税のうち約1/3が地方税となっているが、このために、地方財政が景気に左右される税収の不安定さを引き起こすとともに、東京などの大都市に著しく税収が偏在する不均衡さ、さらには、国の法人税との納税単位の違い等による税の複雑さをも生じさせている。

一方で、消費税は地方による偏在性が法人税と比べて高くないことが知られている。「100の行動」【財務 その2】において提言した、本格的な地方分権とセットでの消費税の地方財源化が実現と併せて、地方法人税(法人事業税)は国税と一括化し、法人税を国税に一本化させるべきだ。実際、フランスや中国、イギリス、シンガポールなどでは、法人税は国税のみが課せせられている。グローバル化の中での国際的な税競争に対して、法人税を国税に一括化すれば、より機動的に対応できることとなろう。

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