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「倍返しだ!」人気ドラマ
『半沢直樹』の世界は本当だった
銀行マンの出世争いはこんなにエグい

週刊現代 プロフィール

「20代の頃は、直属の上司から『アホ』『バカ』『死ね』などと言われました。苦労してまとめた融資案件の稟議書を、『財務分析ができていない。ダメだ』と罵倒されながら、目の前で破られたこともあります。それで追い詰められて精神を病むケースもよく聞きました。

 最近は銀行にもパワハラの相談窓口があるため、エグい叱責はなくなりましたが、自分の成績を上げて出世第一に行動するという銀行マンの体質は変わっていません。ドラマにも出てきますが、『部下の手柄は上司のもの。上司の失敗は部下の責任』という風潮は今も残っているのです」

家を買ったら転勤

 顧客を第一とし、経営者の資質や事業計画を見て、融資を行い、回収する。銀行マンにとっての理想だが、こんなことは建て前に過ぎない。ドラマの中で、融資先の倒産によって連鎖倒産する下請け企業の社長に、半沢直樹がこうられるシーンがある。

「銀行は、晴れた日に傘を差し出し、雨の日には傘を取り上げる。銀行員の常識は世間の非常識だ」

 三井住友フィナンシャルグループのある行員(30代後半)は、実際に同じことを入社してすぐに先輩から言われたという。ただし、その後に「そうならないよう気をつけろ」と続くのだが、実態は違う。上司から「融資を引き上げろ」と命じられて、逆らえる銀行マンなどいない。なぜそこまでがんじがらめにされるのか。同行員が自虐的にこう続ける。

「銀行には『家を買った人は転勤になる』というジンクスがあるんです。住宅ローンを抱えるから、転勤させても辞めることなく頑張って働くはずだというのが、その理由です。実際、同期の中には家を買った途端、片田舎に転勤になった男もいます。その人事に不満を漏らすことはあっても、最終的には従うしかありません。そうしないと自分の人事評価に影響しますから」

 そんな環境で「半沢直樹」流を貫くとどうなるか。ベテラン金融担当記者はこんなケースを紹介する。

「まれに半沢直樹のような銀行マンもいるんですが、上司をやり込めることはありえない。某メガバンク支店長は、本部からの『融資先の業績が不振だから、貸出金利を上げろ』という指示に対し、『お客様が第一です。次期決算では業績改善されますから、それはできません』と突っぱねた。途端に支店長から外され、本部の人事部付きになって、仕事も与えられず退職に追い込まれました。周囲は出世レースから一人ライバルが消えたとほくそ笑んでいました」

 そんな銀行内で出世していくには、まずはミスをしないこと、その上で成果を上げることが求められる。