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PCなりすまし事件真犯人が送った「ラストメッセージ」

週刊現代 プロフィール

私は壊れている

〈私もまた、間違った刑事司法システムの被害者です。ある事件に巻き込まれたせいで、無実にもかかわらず人生の大幅な軌道修正をさせられた人間です。それがどんな事件だったのかは詳しくは言えません。

 サイバー関係ではありませんが、彼らが間違いを犯した原因の趣旨は、その事件も今度の事件も大して変わりは無いものです。

 刑事司法の問題点として良く出てくるキーワード、「自白偏重」「代用監獄」「人質司法」「密室取調」「作文調書」……etc

 私はそれらを実体験をもって知る人間です。

 そして、そのとき私は負けてしまった。やってないのに認めてしまった。起訴された。公判で「反省している」と発言した。おかげで刑務所に行かずに済んだが、人生と精神に回復不能な大きな傷を残した。一連の事件は、私が「負け犬」から復帰するためのリベンジと言えます〉

 パソコンで打たれた1万字を超える長文には、警察や検察への恨みが溢れている。「ラストメッセージ」と題され、一連のPCなりすまし事件について詳細に記されたものだ。

 今年元旦に真犯人からいくつかのメディアに送付されたメールに添付されていたこの文書は、江ノ島のネコの首輪や雲取山から発見された記録媒体によってしか解読できないものだった。一連の事件では、真犯人のものと思われる4通のメールの内容が公開されているが、この文書が公になるのは初めてのこと。そこには真犯人が犯行に及んだ動機とその手口が赤裸々に記されていた。

 真犯人が送ったメールのアドレスに報道各社が返信した質問への答えがこの「ラストメッセージ」だ。主だった質問にそれぞれ細かく回答している。冒頭の引用は〈■なぜこうしたことをなさったのですか 警察・検察にどんな恨みがあったの?〉という問いを受けてのもの。真犯人はさらにこう続ける。

〈『先に償いをさせられた人間はその分の犯罪を犯してもいい』という持論。

 あなたは間違っている。たとえどんな理由があっても許されない、そういう突っ込みがあることを理解する程度の理性はあります。でも、それが私だけの哲学であり、誰にも軌道修正されない行動原理です。

 いつかのDig(編集部注=ラジオ番組の名前)で誰かが「犯人は壊れている」と表現していました。

 そう、壊れている。私を壊したのは奴らだから〉

 5人もの無実の人間に罪を着せたことを正当化する、あまりに身勝手な理屈だが、それはさておき、検察側はこの文章を事件の被疑者として逮捕・起訴されている片山祐輔さん(31歳)が書いたものだと主張する。

 片山さんが文章中に出てくる「自白偏重」「代用監獄」といった単語を携帯電話で検索している、というのがその根拠だ。それに対し、片山さんは弁護団にこう述べているという。

「真犯人がPCを遠隔操作して覗き見ることができるのであれば、僕の携帯電話の個人情報を知ることもできます。そうすれば、本人も気づかないうちに、それらの単語で検索をかけることなど簡単です」

 ラストメッセージを読むと、真犯人が片山さんとは異なる境遇にいたことが浮かび上がる。真犯人はある事件で起訴されたものの、〈刑務所に行かずに済んだ〉と書いているが、片山さんには刑務所で服役した前科がある。しかも、罪状は文書中で否定されている「サイバー関係」だ。検察が言うように、この文書が片山さんのものだとするには、内容に矛盾が存在する。

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