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日本経済を揺るがす非常事態だ
価格が下がらない!?軽油高止まりのナゼ?

漁業関係者、運送事業者から死活問題と悲鳴続出

 世の中、アベノミクス効果による景気回復に期待を寄せているようだが、半面、政府主導による為替の円安傾向で厳しい局面を迎えている業界もある。なかでも円安による原油価格の高騰は、日本経済に深刻な影を落としており、営業車の主要燃料である軽油の価格は高止まり。国内の物流を担うトラック輸送のみならず、日本人の食を賄う漁業も窮地に立たされている。

全ト協、全漁連が相次いで決起大会
政府に緊急支援対策を求めたが……!?

 5月23日、全日本トラック協会および都道府県トラック協会は、東京・永田町の自民党本部で「燃料価格高騰経営危機突破全国総決起大会」を開催した。決起大会には、全国約800人もの事業者が参加、輸送業界の置かれている危機感がひしひしと伝わってくる。

 大会では、政府に対し4項目の緊急対策の実現を求める決議を採択した。

─燃料費を補てんする補助金制度の創設
─燃料サーチャージ導入の促進
─燃料価格監視の徹底
─軽油引取税緊急減税の実現

 特に、4番目の軽油引取税減税に関しては、輸送業界の悲願である。軽油引取税は、道路特定財源として'56年に創設された地方税で、'64年4月に本則で1ℓ当たりの税額が15円に引き上げられた。その後、本則15円は変わらないまま、暫定税率や特例税率の名目で事実上増税され、現在は1ℓ当たり32円10銭となっている。

 しかも、'09年度の税制改正で軽油引取税は一般財源化され普通税となった。道路特定財源であったから、道路を走行するディーゼルエンジン車両の燃料だけに課税され、船舶や鉄道、農林業車両、漁船は課税を免除されていたのだが、一般財源化されても相変わらず道路を走るディーゼル燃料だけに課税されている。この格差是正を、輸送業界は強く要望している。

 軽油高止まりの影響はトラックだけにとどまらない。前述のように、漁船は軽油引取税を免除されるが、それでも価格高騰は漁業事業者の死活問題だ。4月には、いか釣り漁船が燃料高騰でひっ迫している実情を訴えるため、2日間の一斉休業を実施したほどだ。

運送事業者の9割が中小企業で、燃料高騰は経営危機に直面するだけに、決起大会は熱気を帯びていた

 そして5月29日、全国漁業協同組合連合会および一般社団法人大日本水産会は、東京・日比谷野外音楽堂に集結、「我が国漁業の存続を求める全国漁業代表者集会」を開催した。

 漁船の燃料は、大雑把にいって大型船がA重油、小型船は軽油を使用するケースが多く、A重油と軽油の割合はざっと3対1という。また、各地の漁業協同組合や漁業協同組合連合会が一括して燃料を購入、組合員に販売するシステムも一部で導入されている。さらに、水産庁主導で「漁業経営セーフティネット構築事業」を進めている。四半期ごとに燃料価格をチェック、過去7年の価格の平均(最高と最低年は除く)から値上がりしていれば、そのぶんを補てんする事業で、今年1~3月期は1㎘当たり1万4200円が補てんされた。4~6月期は、補てんの上積みが予想されるが、その原資は国が半分、事業者の会費(積立金)が半分である。漁業事業者のなかには、会費が払えなくてセーフティネットに加入できない人もいる。

 それでも、ディーゼル車に比べれば恵まれているようにも見えるが、漁業事業者も厳しい状況にある。話は戻って、日比谷での決起大会で「円安による燃料価格高騰分の緊急支援等を講ずることを求める」決議を採択、デモ行進して窮状を訴えた。

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