雑誌
話題の本の著者に直撃! 沢木耕太郎
将来『深夜特急』を手に取った人が
「あの絵本の人だ」と思ってくれたら

さわき・こうたろう/'47年東京都生まれ。横浜国立大学卒業後、ルポライターとして活動。'79年『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、'82年『一瞬の夏』で新田次郎文学賞を受賞。『深夜特急』『キャパの十字架』など著書多数

—今年2月、沢木さんはロバート・キャパの伝説の写真「崩れ落ちる兵士」の謎を追う『キャパの十字架』を上梓しました。ほどなくして出版されたのがこの『ホーキのララ』。沢木さんにとって4作目の絵本です。近年なぜ子供向けの物語を書き始めたのでしょうか。

 きっかけはふたつありました。ひとつは僕のノンフィクションの担当だった編集者の一人が、児童書の部署に異動になったことです。あるとき彼と友人として喋っていたとき、「児童書も面白いので書いてみませんか?」と提案されたんです。

ホーキのララ
著者:沢木耕太郎
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 彼の言葉に僕が反応したのは

—今からもう30年近く前のことですが—娘を寝かしつけるときにいつも自分が即興でお話を作っていたことを思い出したからでした。当時の僕は30代の後半で、ちょうど『深夜特急』を書いていた頃。日中に原稿を書き、夜は娘を布団に寝かせるのだけれど、二人の間にはあるルールがあったんです。

自分のなかにいくつもの絵本の原型があった

 それは彼女が単語をひとつ言って、それをテーマにしたお話を僕が作ることでした。たとえば「バナナ」と彼女が言えば、バナナが出てくるお話。「お星様」や「長靴」、ときには「お父さんの話」と言われ、「お父さんは昔、旅をしていてね……」と20代の旅の思い出話をしたこともあった。娘が2歳から5歳くらいになるまで、いつもそうやって物語を創作することを続けていたんです。