全国・金の卵探訪シリーズ
北照・大串和弥(春ベスト8)の魔球スクリューを見よ!

泥だらけになった練習用のTシャツ姿でにっこり笑う大串。北海道小樽市にある北照高校のグラウンドにて〔PHOTO〕荒川祐史

 南北海道大会の決勝戦前、センバツベスト8左腕、北照の大串和弥投手(17)は、帽子のツバの裏に初めてこんな文字を書き込んだ。

「なぜ野球をやっているのかといえば、楽しいからなんですよね。今まで帽子のツバになにかを書いたことはなかったんですけど、原点を見つめ直したときに浮かんだのが『笑顔』でした。試合のピンチの場面で見るようにしたり、みんなで顔を合わせて笑ったり。決勝の駒大苫小牧戦は苦しい試合でしたけど、そういうことが大きな力になりました」

 小学1年のとき南幌リトルタイガースで野球を始め、小学6年で全道大会優勝を経験して中学3年時には全国3位。道内の強豪、北照に入学しても、春の全道大会からベンチ入りを果たした。河上敬也監督はその能力にほれ込み、1年夏の大会から〝エース〟に指名。「大串と心中する」「おまえしかいない」と常に口にしてチームの命運を託してきた。

 172cm、72kg、左投げ左打ち。体が大きいわけでも、速い球を投げるわけでもない。上級生のなかに、そのことを面白く思わない選手がいても不思議ではない。それでも大串はマウンドに立ち続けた。

「1年の夏、2年の夏は自分のせいで勝つことができなくて、先輩には本当に申し訳なく思いました。その負い目から、一時期は自分で自分にプレッシャーをかけるようになっていました」