佐藤優さんに質問「佐藤優さんの書棚の整理術を教えてください」ほか

【佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」夏の特別号 目次】
―第1部― インテリジェンスレポート
 ■分析メモ No.42「麻生発言と反知性主義」
 ■分析メモ No.43「なぜロシアは、スノーデン元CIA職員の一時亡命を認めたのか?」
―第2部― 読書ノート
 ■読書ノート No.53 『最新脳科学が教える 高校生の勉強法』
 ■読書ノート No.54 『人類史のなかの定住革命』
 ■読書ノート No.55 『昭和の天一坊 伊東ハンニ』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 今後のラジオ出演、講演会などの日程

質問:佐藤さんの書棚の整理術を教えてください

私はビックトゥモロウの連載を毎月楽しみにしております。連載の中で度々、佐藤さんの書斎の写真が登場しますが、それを拝見して私は非常によく整理されて書斎だなという感想を抱きました。(具体的には本棚の本の配置や机の上など)そこで佐藤さんが実行している整理術のようなものがあれば教えてください。(匿名)

【佐藤優さんの回答】 ノートは、1冊にすべてのことを書くようにして、書類はダンボール箱に入れ、どの期間の書類が入っているかを箱に書いています。そして、2年経ったら捨てています。本棚は、仕事部屋(東京に4箇所ある)ごとにテーマを決めています。執筆内容に応じて、筆者の方が移動するようにしています。

質問:麻生氏の発言はロシアの政治エリートに影響を与えますか?

いつも佐藤先生のメルマガ、著作等で勉強させていただいております。1点、質問がございます。麻生太郎副総理の憲法改正をめぐる発言(7月29日)が波紋を呼んでいます。この発言の中で靖国神社参拝に触れた部分がありました。

<靖国神社の話にしても、静かに参拝すべきなんですよ。騒ぎにするのがおかしいんだって。静かに、お国のために命を投げ出してくれた人に対して、敬意と感謝の念を払わない方がおかしい。静かに、きちっとお参りすればいい。

何も、戦争に負けた日だけ行くことはない。いろんな日がある。大祭の日だってある。8月15日だけに限っていくから、また話が込み入る。日露戦争に勝った日でも行けって。といったおかげで、えらい物議をかもしたこともありますが。 >(朝日新聞デジタル2013年8月1日2時18分 http://www.asahi.com/politics/update/0801/TKY201307310772.htmlより抜粋)

ここで「日露戦争に勝った日でも行けって。といったおかげで、えらい物議をかもしたこともありますが。」とあります。この発言はロシア側も当然把握していると思います。

大日本帝国が勝利した主な戦争には、日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦があります。日露戦争における日本の勝利が歴史に残した意義はあると思いますが、ロシアにとって日露戦争は負けた戦争であり、屈辱の歴史です。

そこで質問です。この発言がロシア政治エリートに与える影響はあるでしょうか。ただでさえ北方領土交渉が、ロシアの対日強硬派の台頭、日本側の態勢の不十分さ(特に、現在の内閣官房長官・政務の外務審議官・ロシア課長・モスクワの日本大使館)によって先行きが不安になるなかで、これ以上日露関係にマイナスなことが起こってほしくありません。よろしくお願いいたします。(匿名)

【佐藤優さんの回答】 日露戦争に関する麻生氏の発言について、ロシア政府もロシア人も特に反応しません。「あれは負け戦だった」と冷静に認識しているからです。

問題は、ナチスの手口に学ぶとした麻生氏の発言です。本文にも記しましたが、この発言はロシア人の生理的反発を招きます。

7月31日、露国営ラジオ「ロシアの声」が「麻生副総理 日本憲法の「ワイマール式改正」を求める」(イリナ・イワノワ署名)の以下の論評を報じました(http://japanese.ruvr.ru/2013_07_31/118882408/)。「ロシアの声」は国営放送なので、政府の見解と対立する論評はしません。ここに麻生発言に対するロシア政府の見解が端的に示されています。

<韓国、中国その他のアジア諸国で、またもや日本の政治家の発言が物議をかもし出している。つい最近、大阪の橋下市長の、帝国陸軍が徴用した所謂「従軍慰安婦」に関する発言が大きな怒りを呼び起こしたばかりだが、今度は首相経験もある麻生副総理が、1930年代のワイマール共和国憲法見直し経験を引き合いに出し論議を呼んでいる。

29日、麻生副総理は「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と述べた。その際確かに、麻生副総理は、大きな騒ぎは引き起こしたくないとし、憲法改正の目的は、国の安定化であり「落ち着いて、われわれを取り巻く環境は何なのか、状況をよく見た世論の上に憲法改正は成し遂げられるべきだ」と強調している。

とはいえ、この麻生副総理の発言は、アジア諸国で大きな反響を呼んだ。ナチスによるワイマール憲法の見直しは、第一次世界大戦の結果により定められたドイツ軍の規模の制限破棄を意味するものだからだ。その結果、ドイツは短期間のうちに急速に、その軍事力を増強できた。そしてドイツは、英国及びフランスの暗黙の合意を得て、まずオーストリアとチェコスロバキアを占領、その後、ポーランド侵略に取り掛かり、第二次世界大戦の幕を開いた。中国や韓国が、日本の所謂「平和」憲法の見直しと軍の改革が、日本の潜在的軍事力の急激な拡大の諸条件を作り出すのではないかと危惧するのも当然だろう。・・・・・・