社長の風景

商品開発のポイントは「これができます」ではなく、消費者が「何に困っているか」を考えることです。

シヤチハタ 舟橋正剛

2013年08月22日(木)
週刊現代
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名古屋に本拠を置くシヤチハタ。社名の由来は、名古屋城のシンボル「金の鯱」の「鯱」と「旗」をマークにしたから。主力商品の「Xスタンパー」(いわゆる「シヤチハタ印」)は、'68年に発売され、現在までに売り上げ1億5000万本を記録する超ロングセラー商品。社長は、創業者の孫にあたる舟橋正剛氏(48歳)だ。


商品開発のポイントは「これができます」ではなく、消費者が「何に困っているか」を考えることです。 ふなはし・まさよし/'65年、愛知県生まれ。'92年に米リンチバーグ大大学院(バージニア州)修士課程を修了し、広告代理店へ入社。'97年にシヤチハタ工業(現シヤチハタ)へ入社し、'99年に取締役就任、以降、取締役兼執行役員マーケティング担当などを歴任し、'06年6月から現職。趣味はゴルフ ※シャチハタのWebサイトはこちら

未来を探せ

商品が売れると、不安になるんです。弊社創業者は大正14年に、蓋を開けたままでもインキが乾かない「萬年スタンプ台」を作りました。グリセリンが含まれ、空気中の水分を吸収する仕組みです。これが画期的ともてはやされ「シヤチハタ」はスタンプ台の代名詞になりました。しかし弊社は「いつかスタンプ台はなくなる」と考え、スタンプ台が順調に売れていた戦後まもなく「Xスタンパー」の研究を始めました。ようするに、今までの延長に未来はないのだと思います。

実験何千回

「Xスタンパー」開発のポイントは「塩を含んだゴムを作ること」でした。これをお湯に入れて塩を溶かすと、塩の粒子があった部分に穴が開いてスポンジ状になり、インキを含ませると、スタンプ台がいらないスタンプができる。この仕組みの完成までに、何千回も素材を混ぜたりこねたりしたそうです。

大贅沢

お坊ちゃん育ちと思われますが、大学生の時は、四畳半、風呂なし、共同トイレ、家賃2万円のアパートに住んでいました。夜、となりのサラリーマンの部屋から壁を叩く合図があると、向かいのOLなども加わり酒盛りが始まる。当時は、アルバイトとして弊社で出荷の手伝いをしていました。私の家に泊まり、冷たい水で頭を洗って一緒に出勤した仲間がそのまま弊社へ就職し、今も活躍しています。たまに当時の話をしますよ。今振り返ると、非常に贅沢な時間でした。

先日、私が若い社員たちにアパートの話をしたら、みんな「本当?」という顔をしましたが、当時の仲間が証言してくれたため、みんなに当時の雰囲気がわかってもらえました。

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