雑誌
全国盗難車事情最前線2013
2代目インプレッサWRX STI連続盗難事件から考える
アナタの愛車ももしかして狙われているかもしれない!?

 今年2月と5月、千葉県柏市と四街道市で2代目インプレッサWRX STIが盗難される事件が相次いだ。WRCに参戦していた頃のスバルのホモロゲモデルだけに気になるが、現在の自動車盗難の実態について追った!

PART.1
自動車盗難の現状と傾向その手口から実態を探る

 クルマ好きの間で衝撃が走っている。最近、2代目インプレッサWRX STIが千葉県で連続して被害に遭う盗難事件が起きたからだ。そうなると気になるのが最近、自動車盗難は果たして増えているのだろうかということなのだが、その答えは「否」となる。

 警察庁によると、年間での自動車盗難台数はピークだった'03年の6万4223台から、ほぼ毎年のように減少傾向にあるからだ。昨年は2万1070台とピーク時のほぼ3分の1にまで減っている。これはやはりイモビライザーの普及によるところが大きい。自工会の調査によると昨年、国産車では約160車種でイモビライザーを装着しており、約50車種の装着にとどまっていた'02年に比べて3倍以上も増加してきている。

 しかし、だからといって「そうか、自動車盗難台数自体は減っているんだ」などと安心することは決してできない。全体として自動車盗難が減っていても、特定の地域で依然として盗難が多発しているからだ。この点について、首都圏在住で自動車窃盗団との独自ルートでの面識があるという事情通、M氏に背景を聞いてみた。

「まずは近年の規制緩和によって簡素化された中古車の輸出手続きなんですが、これが結果的に悪用されることになっています。大がかりな窃盗団がはびこって盗難車を不正輸出しているのも、ここを突いているわけですね。また、暴対法施行後の資金源として盗難車売買が占める割合が増えていること、さらにもともと欧米などに比べ危機意識が低い日本人の国民性なども挙げられます」と指摘する。

 続いて、その自動車窃盗団の組織的な役割の実態はどうなっているのかを聞くと、

「手始めに調査係がいまして、彼らは事前にいわゆるブラックマーケットからの注文を受け、ねらいをつけたクルマを常に監視するようになります。最も盗みやすく状態のいいAランクから、防犯装備が整った盗むのに難易度の高いDランクまでリストを作成しています。それをもとに市販の防犯品であれば分解してシステム解除の方法を解析し、実行犯が現場へ向かうことになりますね」

 発注するブラックマーケットはどこの地域なのか?

「中近東やロシア、アフリカ、東南アジアなどが日本から盗まれたクルマが流れる先ですね。現地での仲介人が日本の窃盗団に車種を指名して注文するという流れです」

 実行犯によって盗まれたクルマはその後どうなるのか?

「きわめてシステマチックになっていまして、実行犯が盗んだ車両は運搬係とともに高い鉄板で囲まれた郊外のヤードなどに運び込まれます。そこで各パーツに解体し、コンテナで海外へ輸出され、現地で再び組み直されることになります。また、そうではない場合でもナンバーの付け替えや破損した部分の修理、車台番号や車検証の偽造などを行ない、海外や国内で売却されることになります。各々の役割がきちんと決められていて、それに沿って組織的に進められているのです」

ヤードは郊外の農地など敷地を高い鉄板で囲い、外部からなかが見えないように設営される

 盗む際の手口はどのようなものか?

「最もポピュラーな手口なのは、ウィンドウとボディの隙間にアルミ板を差し込み、ガラスを歪ませて針金を通して集中ドアロックを破るものです。ドアを開けてしまえばトランクを開けてトランクキーのシリンダーを抜いたり、ドアの内張りを剥がし、その場でキーの複製を作ってしまうワケです」

 なんの防犯対策もされていないクルマならばものの5分としないうちにキーを複製できるとか。これは驚きだ。

「さらに郊外での新手の手口としては大型デパートや展示場などでの駐車場での盗難ですね。時には警備員の格好をしてまで待ち受けます。ねらいをつけたクルマが駐車場に入ってくると、『ここは障害者用スペースですので万一の移動のためにキーをお預かりします』などと言い、キーを受け取るとそのままドロンしてしまう。ほかにもキーを預ける駐車施設ではオーナーになりすましてキーを受け取り、クルマを持っていきます」

 いったん、ねらいをつけられたクルマは防御するのもなかなか難しい情勢のようだが、冒頭で述べたようにインプレッサがねらわれている特別な理由があるのだろうか。

「かつては高級車も大衆車も1台海外へ運ぶのに、そもそも車両本体価格ほどの差がありませんでした。ですから全般的に高級車がねらわれる傾向にあったのですが、最近では日本人だけでなく、海外からも新規の窃盗団が入り込んできているようです。彼らは自動車盗難のノウハウについてはまだ蓄積が少なく、どうしても盗みやすさを重視する傾向があります。そのため、高級車以外のクルマ、スポーツ系などにも目が向けられるようになったワケです。そのなかでもインプレッサは海外でもラリーでの知名度があり、需要があるようです」

 ちなみに盗難車を1台海外に転売することで、窃盗団にはどのくらいの利益になるのか?

「日本では買い取り店に出したところで二束三文にしかならないような古いインプレッサやランクルでも、数十万~100万円以上の利益が出ると聞いたことがあります」

 うむむ、これでは窃盗団にねらわれてしまうワケだ。そこで、次は自動車盗難の対応策について詳しく見ていこう。

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