自民党政治にひそむ光と影---かつての一党優位時代と現在とでは何が変わったのか?
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 参議院選挙が終わり、2日には臨時国会が開かれた。本会議場での議席の決定、正副議長、各種委員会の人事など、事務的な手続きを行うためだ。議長には自民党の山崎正昭氏、副議長には輿石東氏の就任が決まった。当初、輿石氏の副議長就任に難色を示していた自民党も、従来の慣例を容れて、容認姿勢に転じた。これでねじれ国会が解消し、政策決定の迅速化も期待されよう。

 民主党をはじめとする野党は、すっかり無力化しており、もはや自民党1強時代の到来である。連立与党の公明党が、どれくらいブレーキをかけられるか。それのみが歯止めという情けない現状である。

麻生副総理のナチス発言に見る緊張感の欠如

 そのような中、麻生副総理のナチス発言が波紋を呼び、国際的な批判を浴びている。麻生氏は、7月29日、都内のシンポジウムで、「ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」と語ったと報じられている。憲法改正論議は、静かな雰囲気で、落ち着いて行うべきだということには、私も賛成するが、ナチスを例に出したことは問題である。

 私は、若い頃、ヨーロッパに留学し、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の時期のヨーロッパ史を研究した。ワイマール時代は、まさに私の研究対象であり、ナチスに関する文献も内外に渡って読み漁ってきた。

 当時、ヨーロッパで最も民主的なワイマール共和国において、ナチスが民主主義のルールに則った選挙で政権に就いた。しかし、一旦政権を取ると、一気に独裁へと突っ走ったのである。この現代の独裁については、たとえば、ポピュリズムの危険性に警鐘を鳴らす意味で引用するのは適当である一方、麻生氏のような文脈で言及するのは、歴史に対する無知をさらけ出す以外のなにものでもない。世界が反発するのは当然である。

 権力の座にある者は、常に発言には細心の注意を払わなければならない。このような発言は、選挙に大勝したための傲りか、緊張感の欠如としかとられないであろう。民主党が、解党直前の死に体状態なので、これからの日本の政治は、自民党政治にならざるをえない。そこで、かつての自民党長期政権時代と今日のそれとを比較し、何が変わったのかを検証してみることにする。

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