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マクラーレンにエンジンを供給し'15年F1に復帰
HONDAは勝てるのか?黄金期、第2期の再現は可能か?

ベストカー

 ホンダのF1復帰会見で、伊東社長は〝エンジンサプライヤー〟ではなく〝パワーユニットを供給する〟と何度も表現していたが、劇的な変化のカギはここにある。

 現在のF1は2・4ℓ、V8に運動エネルギー回生システム(KERS)を装着したものになっているが、来年からは、1・6ℓ、V6直噴ターボに従来のKERSと同じ目的ながら進化させたMGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)とターボの排熱などから熱エネルギーを回生するMGU-H(モーター・ジェネレーター・ユニット・ヒート)という2タイプの回生システムが組み合わされる非常に複雑なものになる。

 それでこれをパワーユニットと呼んでいる。つまりフェラーリ、ルノー、メルセデス、そしてホンダは、エンジン単体ではなくこのパワーユニットを供給することになるのだ。

ホンダが暴れまわった1.5ℓターボエンジン時代。当時は未見の領域にホンダだけが踏み込みライバルを凌駕するパワーを見せ、F1界を席巻

 現在FIAの試算では、1・6ℓ、V6ターボエンジンの出力が600㎰、2つのモーターのパワーが161㎰で両者を合わせれば、現在の2・4ℓ、V8と同等のパワースペックとなる。ターボのブースト圧は無制限だが、燃料の流量が制限されるため、闇雲に上げても燃料を食うだけで無意味。同時に燃料タンクは100㎏と燃料制限が加えられるため、いかに効率よく運動エネルギーと熱エネルギーを回生して、それをパワーとして使えるかがポイントとなってくる。燃費が悪ければ完走できないレベルの厳しさなのだ。もちろんエンジン自体の燃焼効率を大幅に上げる必要があるのはいうまでもない。

 ホンダがF1復帰を決めた最大の理由はここにあり、単なる小排気量直噴ターボエンジンの開発だけでは終わらないのがホンダのチャレンジ魂に火をつけたというわけだ。

 ここ数年はコスト削減のためにエンジンの開発が凍結されるなど、モータースポーツ界の頂点のF1らしからぬ方向性になっていたが、最先端の技術が盛り込まれるF1の面目躍如といったところ。これにホンダはチャレンジしていく! 

山口正己氏

1年半で社内コンセンサスを固める必要あり
プロのレースファン 山口正己

 ホンダのF1復帰は嬉しいことだと思います。ただ、参戦するからには勝たなければ意味がない。F1というのは、勝つためには予算と人をかけなければならない世界ですが、本田技術研究所から聞いた話では、今回のホンダは予算も人もあまりかけないらしい。大々的に発表して世間は盛り上がっているのに、社内の士気はそれほどでもないと聞いています。幸いなことに1年半ある。この間に社内コンセンサスを固めて、予算も人員も勝てる体制を整えて戦っていく必要があると思います。