三田紀房『砂の栄冠』に学べ!
高校野球を"興行"の視点から分析する「甲子園研究所」
講義(8) 球児にケガをさせるな

『ドラゴン桜』の三田紀房が描くヤングマガジン連載中の"爽やかでズル賢い"本格野球漫画! ある日突然、いつも練習を見に来ていた謎の老人から、「この金で甲子園に行って欲しい」と現金1千万円を託されてしまった高校2年生の新キャプテン・七嶋。この1千万円が七嶋を変える! 手段を選ばずなりふり構わず、時には爽やか球児を演じるために猫もかぶる! 果たして七嶋が率いる樫野野球部は甲子園に行けるのか!?

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「甲子園研究所」
講義⑧ 球児にケガをさせるな

最後のバッターの打球処理で骨折してしまった七嶋! 一見、若くて元気な球児たちですが、ケガに悩まされることも多いんです! そんな高校球児ならではの"ケガ事情"について所長と助手がた~っぷりご紹介!

助手 な、七嶋がケガ・・・。彼がケガをしちゃったら、樫野は終わりじゃないですか。

所長 確かに。でも、野球をやっていればケガはつきものだよ。事実、イチローがこんな名言を残している。「僕もケガはしているんですよ。でも、試合に出ているだけの話でね」と。万全な状態でいる選手なんて数えるほど。

助手 そうなんですね。言われてみると、どこの学校に行っても、たいてい何人かはグラウンドの脇で見ているだけの選手がいますね。でも、何でそんなにケガをする選手が多いんですかね?

誰だって多少の無理はする

所長 それは、高校野球だからだろう。一発勝負だし、甲子園のかかった"ここ一番"となれば、誰だって多少の無理はするからね。

助手 昔はよくエースが連投で一人で投げてましたよね。1991年に準優勝したときの沖縄水産の大野倫投手なんか、ひじが曲がっていた。投げられる状態じゃないのに決勝も先発。見ていて痛々しかったです。

所長 あのときの沖縄水産は2年連続の決勝進出。沖縄勢初優勝の夢や期待も背負っていたから、本人も「投げません」とは言えなかったんだろう。

助手 でも、その「腕も折れよ」の連投がマスコミによって美談になっていくんですよね・・・。大野投手は結局、打者に転向してプロ入り(巨人)しましたが、活躍はできませんでした。まぁ、当時は15人だった甲子園のベンチ入りの人数も、現在は18人。高野連は複数投手制を奨励して、ベンチ入り投手の肩ひじ検査も行うようになりましたが・・・。

所長 ベンチ裏には理学療法士が待機するようになって、試合後もクールダウンの体操をしている。確かに肩ひじの検査もしているけど、「投球禁止」ってほとんど聞いたことがないなぁ。炎症程度なら、ほとんどの投手は投げるでしょ。だから、どこまで意味があるのか疑問だね。もちろん、やらないよりはいいけど。

結局、トーナメントで争う以上は、頼れる投手しか投げさせられない。以前は1日で終わらせていた準々決勝を2日に分けて、4日連投を避ける日程にはなったけど、それだけで故障が減るようにはならないよね。