三田紀房『砂の栄冠』に学べ!
高校野球を"興行"の視点から分析する「甲子園研究所」
講義(7) 職業監督の野望

『ドラゴン桜』の三田紀房が描くヤングマガジン連載中の"爽やかでズル賢い"本格野球漫画! ある日突然、いつも練習を見に来ていた謎の老人から、「この金で甲子園に行って欲しい」と現金1千万円を託されてしまった高校2年生の新キャプテン・七嶋。この1千万円が七嶋を変える! 手段を選ばずなりふり構わず、時には爽やか球児を演じるために猫もかぶる! 果たして七嶋が率いる樫野野球部は甲子園に行けるのか!?

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「甲子園研究所」
講義⑦ 職業監督の野望

激戦となった準々決勝! 対戦相手・兼六学館を率いた釘谷監督の悪人っぷりも印象的でしたが、実は最近こういう"職業監督"が増えてきているんです! "職業監督"とは一体なんなのか? 所長と助手が実態に迫ります!!

所長 本当に問題だ・・・。

助手 いきなり、何に頭を抱えているんですか?

所長 最近、私は高校野球の将来を憂えている。本物の指導者が少なくなってきているからね。

助手 そんなことないでしょう。名監督はたくさんいますよ。

名監督と名指導者は違う

釘谷康之兼六学館の監督。なりふり構わぬスカウト活動と少数精鋭主義により久しぶりに甲子園出場を果たす。しかし、兼六学館は母校の名門野球部の監督になるという野心のための踏み台であり、生徒の生活指導など面倒くさいことは一切やらない。

所長 いや、名監督と名指導者は違う。勝っているのがいい監督ではないんだ。勝利至上主義、勝つだけが目的になっている人は指導者とは言わない。甲子園請負人、職業監督だ。

助手 言われてみれば、最近はそんな監督ばっかりのような・・・。

所長 いるだろう。女子校から共学になった私学に移ったり、東北から九州に移ったり、同県内の私学を渡り歩いたりしている人が。公立の先生だったのに、野球で結果を残したためにカネで私学に移る人も多い。定年後に私学へ行く人もいるね。

それに、同じ学校で長く監督をしていても、欲望と名声に目がくらんでいる人も多い。優勝でいくら、ベスト4でいくら・・・という出来高契約を結んでいる人もいるしね。

榎戸航大浦和秀学のエースでMAX148キロのドライチ確実選手。シニアでは全国大会優勝、高校は強豪校が争奪戦を繰り広げるなど野球エリートな人生を送ってきた影響か生意気に眉毛は極端に細い。

助手 "甲子園監督"という肩書がブランド化されているんですね。

所長 甲子園に何度出場、プロ選手を何人育成・・・。職業監督のうたい文句はこれだよ。

助手 でも、それが売り物になるのも、需要があるから。学校側もそれを望んでいるんですよね? 有名監督で世間の目を引くという。

所長 その通り。私学の場合は甲子園出場が手っ取り早く知名度を上げる手段だからね。野球はメディアの注目が一番。連日テレビや新聞で報道されるし、試合中は少なくとも2時間近くはNHKで学校名を宣伝できる。進学校化しようとしても時間はかかるけど、野球なら、有名監督と好選手を連れてくれば、2、3年で結果が出せるからね。