三田紀房『砂の栄冠』に学べ!
高校野球を"興行"の視点から分析する「甲子園研究所」
講義(3)ダメダメ監督は実在する

『ドラゴン桜』の三田紀房が描くヤングマガジン連載中の"爽やかでズル賢い"本格野球漫画! ある日突然、いつも練習を見に来ていた謎の老人から、「この金で甲子園に行って欲しい」と現金1千万円を託されてしまった高校2年生の新キャプテン・七嶋。この1千万円が七嶋を変える! 手段を選ばずなりふり構わず、時には爽やか球児を演じるために猫もかぶる! 果たして七嶋が率いる樫野野球部は甲子園に行けるのか!?

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「甲子園研究所」
講義③ ダメダメ監督は実在する

"監督対決"に耐え見事ベスト8進出を決めた樫野! いつも七嶋の邪魔ばかりするガーソだが、実は世間にもダメダメ監督がたくさんいるんです! 今回はそんな"ダメ監督事情"を所長と助手がねっとりご紹介します!!

所長 いるんだよ。

助手 な、何がですか?

所長 "リアルガーソ"だよ。あんな監督は、現実にはいないと思ってるだろ?

助手 まさか。ホントですか? 甲子園に出るような学校の監督は名将揃いじゃないですか。野球を知り尽くしているスペシャリストでしょう。

勝てば誰でも名監督

ガーソ(曽我部公俊)樫野高校野球部監督・56歳。タナボタで春1回夏2回の甲子園出場を果たしたラッキーな人。特技は、手の平返し、知らんぷり、突然のご乱心、敵前逃亡、丸投げ、手柄の一人占め。

所長 いや、それはマスコミにつくられたイメージでしかない。勝てば誰でも名監督になっちゃうから。実際には、甲子園で真っ白になってしまう人も少なくない。緊張でサインが出せないまま終わってしまったり、半分パニックでサインの出し間違えをしたりする人は多いんだ。甲子園常連でかなりの勝ち星を挙げている監督だって、例外ではない。

助手 え~っ!? だって、高校野球は監督がすべてといっても過言ではないですよね。そんな監督じゃ勝てないでしょう?

所長 いや、それが勝ててしまうんだ。素材のある選手が実力を発揮してくれれば、監督は何もしなくても勝てる。エースが150キロ投げて、1番から9番まで本塁打を打つチームなら、誰が監督したって勝つだろう。むしろ、監督は余計なサインを出して邪魔をしない方がいいぐらいだ。

ノックマン神業ノックを七嶋達にみせつけ、3ヵ月三百万円で守備を鍛えるために雇われた。利き腕とは逆の特訓など斬新な練習メニューを次々に打ち出す。経歴不詳のお調子者だが、凄い人。

甲子園最多勝の智弁和歌山の高嶋仁監督は、こんなことを言っていた。「監督の采配で勝つ試合なんて、年間1試合あるかないかや」って。

助手 そういえば、甲子園最多勝を争う監督で3対0とリードしている9回一死満塁で前進守備を指示した人がいました。1点やったって、アウトを積み重ねていけばいいのに・・・。案の定、エラーと満塁本塁打でまさかの逆転負けを食らいましたが。

所長 そんな例はいくらでもあるよ。初出場の監督なんかは、甲子園練習から舞い上がっている。ある監督は、前日のミーティング、当日朝のミーティングで「今日は守備練習をするぞ」とくり返していたのに、球場に着いたらいきなり打撃練習をしていた。

なぜか理由を聞いたら、「前のチームがみんな打撃練習しているのを見て、自分もやらなきゃいけないと思った」らしい。常連校が打撃練習しているのを見て、「オレも・・・」と思ったんだろう。ちなみに、その夜のミーティングでは、「甲子園を独占できて、今日は人生で最高の一日だった」と言っていた(笑)。