政治政策
与党圧勝後のこれから 野党勢力を立て直すのは"あの"政党
[Photo] Bloomberg via Getty Images

 先般の参議院選挙は、予想通りの自民・公明党の圧勝で終わった。自民党の単独過半数とまでは行かなかったが、自公両与党は参院でも多数を確保し、衆参の「ねじれ」が解消した。

 3年と少し前までは、民主党が両院で多数を持っていた訳だが、共に消費税率引き上げに熱意を見せた、菅直人元首相、そして野田佳彦前首相が、参院選、衆院選と敗れたことに加えて、今回の参院選が「仕上げ」となって、民主党の政治的な力はすっかり霧消してしまった(結果論の可能性が大きいが、消費税という毒まんじゅうを二度食わせて民主党を選挙で負けさせて、さらに、消費税率引き上げを国会で通した財務省の「妙技」には感心せざるを得ない)。

 今回「ねじれ」が解消したことで、いわゆるアベノミクスが国民の信任を得てより強固に推進できるだろうという期待が生じる一方で、有権者として少なからず気になるのは、野党勢力が核を失って、事実上の野党不在時代が始まるのではないかということだ。

 野党勢力の立て直しは可能なのだろうか?

 先般の参院選の、比例代表の政党別得票数をあらためて見返してみて、驚いたことが大小三つある。

 一つは、政党名・個人名を合計した総得票で見て、民主党の得票率13.40%が、与党のサブである公明党の14.21%にも及ばなかったことだ。この支持状況では、野党第一党とは名ばかりに過ぎない。そして、敢えて言わせて貰うと、民主党は、今後も勢力を減らすであろう。

 実際、今回の選挙で明らかになったことは、「民主党」というブランドが、むしろ候補者の足を引っ張ったことだ。
 岩手選挙区では、民主党を離れて無所属で立った平野達男氏が旧民主党系候補が三つに分裂する選挙情勢を抱えながらも自民党候補につけいる隙を与えずに圧勝した。
 一方、東京選挙区では、菅直人氏の反党的行為があったとはいえ、民主党が公認候補を一人に絞り幹部が応援に力を入れた鈴木寛候補が当選圏の5位に入ることが出来なかった。
 民主党の公認がない方が選挙にはいい、ということでは、そもそも寄り合い所帯の選挙互助会のような組織である民主党は瓦解する運命にある。

 さて、比例代表の得票数を見た最大の驚きは、自民党と公明党の得票率を合わせても48.89%と過半数に満たなかったことだ。与党の経済政策が評価され、最大野党の民主党が有権者から懲罰的ともいえる酷評を受ける中で、それでも、連立与党の得票が過半数に達していないというのは、意外な事実だ。

有権者の選択は維新>民主

 野党の全てが一本にまとまることなど出来ないことは明らかだが、野党勢力がここまで負けた大きな原因は、選挙協力が出来なかったことにある。
 逆に、与党の勝因には自公の選挙協力があったはずだし、選挙における公明党依存がある以上、今後、自民党が単独で過半数を取っても、公明党を切ることはできにくいはずだ。
 一方、野党がせめて選挙で協力できる程度にまとまることが出来るなら、数%の有権者が自民党から野党に投票行動を変えるだけで、再びの政権交替が現実味を帯びるということだ。

 しかし、野党勢力が結集することは可能なのだろうか。可能だとすれば、現在のどの勢力が中核となることが現実的なのだろうか。
 再び、比例代表の得票結果を眺めると、それは、どうやら、それは日本維新の会ではないか。
 これが、三つ目の驚きなのだが、同党は、個人名ではない、政党名の得票では約519万票を獲得しており、約483万票の民主党を上回っている。つまり、「日本維新の会」あるいは「維新」と書いた有権者の方が、「民主党」ないし「民主」と書いた有権者よりも多かったのだ。

 日本維新の会と民主党の敗因を検討しよう。

 日本維新の会の今回の敗因は、橋下徹共同代表の慰安婦を巡る一連の発言に対する世間の批判と嫌悪、そして、みんなの党との選挙協力が上手く行かなかったことだろう。これまで同党が、主として橋下氏の人気で党勢を伸ばしてきたことを思うと、この問題の影響はまだ残るかも知れないが、時間の経過と共にこの問題印象は風化するはずだ。
 加えて、維新の会は大阪府と大阪市の首長を持っているので、今後も、維新の会が話題から外れることはない。大阪の行政で実績を積み、官僚の既得権と戦う姿勢をアピールし続けることができれば、日本維新の会が野党勢力の中核を担うことは可能ではないだろうか。

 他方、民主党の敗因は、第一に、政権奪取時に「やる」といっていた公約の数々をやり損ねたのとともに、「やらない」といっていた消費税率の引き上げを官僚にそそのかされて強行した「嘘つき」に対する有権者の怒りと不信だろう。民主党が、この点を反省して「嘘」を詫びない限り、有権者は同党を許すまい。民主党のことが、腹立たしいというよりも、忘れたい、というのが、多くの旧支持者の心境ではないだろうか。

 また、国民の多くが「株価も上がり、一応、経済のムードが明るくなったことはいいことだ」と評価しているアベノミクスに対して、民主党は「丸ごと」反対しようとした。この、経済政策に対する無理解ないしはセンスのなさを、国民に見透かされたことも今回は痛かった。

 加えて、都議選での大敗にもかかわらず、評判の悪かった原発事故対策時の経産相である海江田万里氏をそのまま代表として続投させて参院選に臨む「やる気のなさ」に呆れた元支持者も少なくあるまい。
 今回の民主党の敗北に「不思議の負け」の要素は一切無い。

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