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大反響第2弾 わずか7年後、この国はこんなに変わる 第2回
業界別ライバル企業 どこが勝ち残っているか、教えます【家電】【銀行】【ネット】

第1回【自動車】【飲料】はこちらをご覧ください。

家電 パナソニック×東芝×ソニー
パナソニックが家電で復活する可能性は低い

「家電製品の世界市場で、本気で勝とうと思うならば、パナソニック、シャープ、ソニーの技術を全部合わせて製品開発に取り組むくらいの発想が必要でしょう。価格競争の激しい一般消費者向けの事業は規模も必要ですから、2020年には3社が一緒になっていてもいい。ただ、これまでの日本の企業文化では、それは難しいかもしれません。しかし、このままでは2020年にはパナソニックもシャープも、ソニーもなくなってしまっていることは十分に考えられます」

 衝撃的な未来予測を語るのは、元サムスン電子常務で東京大学大学院ものづくり経営研究センター特任研究員の吉川良三氏である。

 パナソニックは'13年3月期決算で7543億円、シャープも同5453億円の巨額赤字を計上した。不採算部門を整理し、着々と手を打っているかに映る。しかし、その対応ではまだ手ぬるいという。

「パナソニックの津賀一宏社長は電機事業とともに、新たに自動車部品への注力を宣言しています。しかし、日本の製造業の屋台骨とも言える既存の自動車部品メーカーは技術者が優秀で、小回りも利く。はたして大企業のパナソニックが、彼らに伍してやっていけるのかどうか。また、シャープは再生を図るための技術が新型ディスプレイ『IGZO』だけでは心もとない。資金を他社に頼らなければならない財務状況の厳しさも含め、2020年に存続しているかどうかさえ疑問です。ソニーはそこそこの黒字化を継続できそうですが、高画質が売りの『4Kテレビ』が成功しても一人勝ちは難しいでしょう」(経営評論家・塚本潔氏)

 構造不況に陥っている電機産業だが、改革を進めている企業も多い。東芝や日立製作所は家電からインフラの輸出に軸足を移しつつある。証券アナリストの植木靖男氏が見通しを語る。

「東芝は原子力発電所の輸出に傾注し、安倍晋三首相がトップセールスで世界に売り込んでいます。ただ、福島第一原発事故の影響もあって、期待どおりの成果を挙げられるかは未知数。むしろ注目は日立製作所でしょう。火力発電やプラント、ガスタービンなど、スケールが大きく、インフラの輸出では日立製作所が優位を保っているでしょう」

 日立は7月、英政府から270両の高速鉄道の製造と保守管理事業を追加受注したと発表。もはや家電メーカーではないのだ。メイド・イン・ジャパンの家電製品が消えてなくなる日は間近に迫っている。それでは"日の丸家電"が生き残る道はどこにあるのか。

 米国松下電器元会長の岩谷英昭氏は、高付加価値商品の開発に力を入れよと後輩たちを叱咤激励する。

「テレビは2020年に向けて『ユビキタス』化が進んでいきます。スポーツや映画、ニュースなど、『いつでもどこでも見たいときに見たい番組が見られる』ようになる。日本のテレビは今のところ単なるモニターですが、これからはネットワーク化された商品が消費者に望まれているのです。これまでの日本の家電はトップダウン型で作られてきました。その結果、中途半端な高機能を持った商品が毎年のように発表されてきました。しかし、社長には家でのんびりとテレビを見るような時間はありません。ものづくりは現場が消費者の目線で行うものなのです。それがパナソニック創業者・松下幸之助のやってきたことでした」

■中国・韓国の時代は終わり

 その上で、安価な価格帯の家電のノウハウも捨て去ってはいけないと岩谷氏は言う。松下幸之助の原点、「水道哲学」に立ち戻れとアドバイスをする。

「松下幸之助は、水道の水のように物資を安価で大量に供給することが企業の使命だと考えていました。もちろん、今の時代、国内で製造して発展途上国に安価に供給することでは儲けにならない。だから、安価な製品はアジアをはじめとする発展途上国で委託生産して、その国の人びとに喜んでもらえばいい」

 事実、すでに日本の家電メーカーの最大のライバル、サムスンは岩谷氏の言う戦略に踏み出しつつある。サムスンの李健煕会長と25年来の付き合いである、前出の吉川氏が李会長の驚くべき先見の明を解説する。

「サムスンもこれからは消費者向け製品を韓国内で作らなくなるでしょう。これまでサムスンは半導体やパネル、携帯電話で市場を占有して利益を出すビジネスモデルでした。これは次第に巨大な中国のメーカーに押されていく。今はスマートフォンが好調だから家電メーカーのような顔をしていますが、もう次のことを考えて行動しています。おそらくサムスンは完成品メーカーから部品や装置メーカーに様変わりして、高品質部品を中国の家電メーカーに販売する戦略を描いていると思います」

 シャープの液晶テレビが「亀山モデル」として一世を風靡したのが'04年のことだ。それからわずか10年足らずで、液晶パネルの価格は暴落し、シャープは存亡の危機に追い込まれた。上図を見ても明らかなように、パネル生産は世界的な合従連衡が進んでいる。

 近未来の家電業界の姿を吉川氏はこう予言する。

「大衆化した家電製品は東南アジアの企業に製造を委託するようになるでしょう。もはや中国や韓国ではない。日本はマレーシアやミャンマー、インドネシアに製造技術を教え、その対価を得るわけです。ただし、商品開発の工場は日本国内に置く。一言で言えば『ユニクロ方式』ですね。今はメイド・イン・チャイナが多いですが、2020年にはメイド・イン・東南アジアになっているでしょう」

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