消費税増税が成長を阻害するのはリーマンショク前後の欧州をみれば明らかだ財政再建は増税より成長で

2013年07月29日(月) 高橋 洋一
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財務省は、その後の景気の落ち込みはアジア危機のためで消費税が原因ではないといい、これは学界の意見だと説明するが、それは苦しい。学者はこうした分析が苦手で、アジア危機説は財務省が作って学者を折伏したものだ。

アジア危機の震源地である韓国は、たしかに危機時は景気が落ち込んだが、少し経つと回復している。一方、日本は回復していないという事実を出すと、答えに窮するだろう(2012年1月30日付け本コラム参照http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31676 )。

リーマンショック前後の欧州では増税でなにが起きたか

リーマンショック前後の欧州での消費増税もいい例になる。23日に公表された経済財政白書では、「消費増税は成長を阻害しない」と勇ましい文章があるが、肝心の分析については行ってない。

マスコミは要旨のみをさっと見て記事を書いているが、図表の分析はさっぱり分からない。今回の経済財政白書の本文だけでも騙せるのだろう。

本来であれば、①消費税増税前、②増税時、③増税後、それぞれの実質経済成長率について、何かのベンチマーク(例えばユーロ圏の平均実質経済成長率)と比較して、どのように変化しているかを調べなければいけない。

ところが、今回の経済財政白書では、①と②、しかもベンチマークとの比較なしのデータしか載っていない。これでは、分析なしで「消費増税は成長を阻害しない」との結論ありきと言われて仕方ないだろう。

これからの消費増税議論で、増税派から根拠もなく、「消費増税は成長を阻害しない」という主張がでてくるだろうから、欧州での消費増税をまとめておこう。

対象は欧州27ヵ国として、2000年から2012年まで基本税率の引き上げと軽減税率の引き上げをともに消費増税としてカウントしている(EC「VAT Rates Applied in the Member States of the European Union」では28ヵ国を対象として税制の変遷が書かれているが、アイルランドはほぼ毎年のように改正があり、増税の実体経済に与える影響が不明ないので除いている)。

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