消費税増税が成長を阻害するのはリーマンショク前後の欧州をみれば明らかだ
財政再建は増税より成長で

「消費税率引き上げを決め打ちするものではない」

7月27日、安倍晋三首相はマニラ市内のホテルで記者会見し、こう述べた。中期財政計画について、税率引き上げを前提とせずにまとめる考えを表明したのだ。

「決めうちしない」という安倍首相の言葉は、かつて小泉純一郎首相が使っていたものだ。当時、経済財政諮問会議において、財務省側の決め打ち的な議論に対し竹中平蔵経済財政相が反論したとき、会議の最後の締めの言葉として小泉首相が言ったものだ。

安倍首相は当時、官房長官として出席したので、財務省にそのときの悪夢が舞い戻ることをもちろん知ったうえでの発言である。

G20で増税を宣言しないと国債の信任が落ちる?

先週の本コラムでは、今後の政治日程を紹介し、三つのシナリオがあると書いた。まとめると以下の通りだ。

〇シナリオ1 増税、財政支出増
       法案は出す必要なし
       族議員跋扈

〇シナリオ2 増税ストップ
       法案を出す必要あり
       党内政局化するおそれあり

〇シナリオ3 増税延期(景気回復後に5%アップ)、
       小幅増税(1%ずつ)
       法案を出す必要あり
       党内政局化するおそれあり

参考までに政治日程も書いておこう。

8月2日 ? 臨時国会召集(参院議長)
8月上旬?? 概算要求基準(閣議了解)
8月12日  4~6月期のGDP速報値(1次速報)
8月末??? 概算要求締切
9月9日 ?  4~6月期のGDP速報値(2次速報)
9月5-6日 G20開催
9月中旬?? 内閣改造(?)
10月上旬  臨時国会召集(成長戦略)

財務省は、中期財政計画で2014、15年度の一般会計歳出総額について「青天井」にするつもりらしい。早速シナリオ1で動いているわけだ。そこで、安倍首相がマニラでの記者会見で「決め打ちしない」と牽制している。

それでも、9月5~6日のG20で、消費税増税を言わないと国債の信認が落ちるとマスコミに言いふらしている。国際会議に弱い政治評論家などは財務省のいいなりになっている。こうした北朝鮮の瀬戸際外交のような話を信じるほうが信じるほうだ。

9月9日のGDP速報値(2次速報)を見て、その時期に予定されている内閣改造を練りながら、じっくり民意を読みながら判断するのがいい。

金融市場は賢いので、財務省のような見え透いた話で動かず、もっと合理的な反応をするだろう。これまでの歴史から見れば、増税は必ずしも財政再建には通じない。まして、デフレ下の下での増税は逆効果で、経済停滞を招き、財政再建の道は遠くなる。

1997年の日本がいい例だ。1997年4月から消費税増税をしたが、一般会計税収は1997年度の53.9兆円からその後は上回っていない。

財務省は、その後の景気の落ち込みはアジア危機のためで消費税が原因ではないといい、これは学界の意見だと説明するが、それは苦しい。学者はこうした分析が苦手で、アジア危機説は財務省が作って学者を折伏したものだ。

アジア危機の震源地である韓国は、たしかに危機時は景気が落ち込んだが、少し経つと回復している。一方、日本は回復していないという事実を出すと、答えに窮するだろう(2012年1月30日付け本コラム参照http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31676 )。

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