現代新書
日中関係が冷えているいまだからこそ考える、
これからの日中関係

加藤嘉一×原田曜平 『これからの中国の話をしよう』 番外編対談

高校卒業後、単身中国に渡り、以来9年あまり中国メディアで発信を続け、「中国でいちばん有名な日本人」と呼ばれた加藤嘉一、日本・中国・アジア各地の若者研究で知られるマーケッター・原田曜平、このふたりが、中国と中国人、そしてこれからの日中関係について、縦横無尽に語り合った『これからの中国の話をしよう』が刊行された。この本の刊行を記念して、久々に出会ったふたりがいまの状況を語り合った『これからの中国の話をしよう』番外編をお届けする。

〔左から〕ハーバード大学ケネディスクールフェローの加藤嘉一氏、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平氏

アメリカから見る中国

原田:まず最初に、2012年8月に加藤さんが9年半生活した中国を離れ、アメリカに行かれた経緯を教えていただけたらと思います。

加藤:本の対談のときにも話しましたが、アメリカに行ってみたいという思いは中学生の頃から抱いていました。

原田:たしかにね、以前からずっとアメリカに行くって言ってましたよね。しかし、なぜ、今、アメリカなんです?

加藤:北京に赴いてからその思いを強くしました。僕にとってアメリカに行くというのは必然的で、いちばん知りたかったのは、アメリカの中国問題専門家たちが中国をどう見ているかというテーマでした。

原田:たしかに今、世界における米中二国の存在は大きなものになりました。

加藤:やはり、日本の将来を考えるうえでも、いま米中二大国でどういう対話が実践されているかを身体的に知ることは大事だし、アメリカの戦略家が中国の台頭をどう見ているのかを知りたかった。

 一方、これから自分が中国問題に取り組んでいく過程で、中国には9年半という比較的長期間いたので、この辺で一度環境を変えてみることが、自分の成長に不可欠だと思ったんです。そこで今、ハーバード大学ケネディスクールのフェローという形で研究を続けています。

原田:ここ数年の尖閣問題で日中関係が冷え切った影響で、最近多くの日本企業には、これからは中国ではなく、東南アジアにシフトしようとする動きがあるじゃないですか? 加藤さんには脱中国というような意識はあるの? 

加藤:「中国・中国人一つのまとまりで見てはいけない」ことを伝えるために『脱・中国論』(日経BP社)を書きましたが、「中国から出て行きましょう」という意味ではありません。「中国・中国人」と長期的、戦略的、友好的に付き合っていくためには何が必要かというクールな目線で得体のしれない巨人を見ていく必要があると思っています。僕はどこまでいっても中国問題と運命共同体です。

原田:おお、そうなんだ。

加藤:今後中国が継続的に台頭するのか、それとも衰退するのか不確定ですが、大国の盛衰を人生かけてウォッチし、分析していきます。当事者意識を持って中国問題と向き合い、伝播していきたいと思っています。

原田:加藤さんがアメリカに渡ってから一年。今、アメリカは中国をどのように見ているんですか?

加藤 嘉一(かとう よしかず)1984年静岡県生まれ。2003年高校卒業後、単身で北京大学留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。復旦大学新聞学院講座学者などを経て、2012年8月、9年半過ごした中国を離れ渡米。ハーバード大学ケネディスクール公共政策大学院フェロー2012~13、ニューヨーク・タイムズ中国語版コラムニスト、世界経済フォーラムGSC(グローバルシェイパーコミュニティ)メンバーを務める。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。中国語の著書多数。日本語の著書として『われ日本海の橋とならん』(ダイヤモンド社)、『中国人は本当にそんなに日本人が嫌いなのか』(ディスカバー携書)、『北朝鮮スーパーエリート達から日本人への伝言』(講談社プラスアルファ新書)、『脱・中国論 日本人が中国とうまく付き合うための56のテーゼ』(日経BP社)など多数。

加藤:もちろん、「アメリカは」と一言では括れませんが、チャイナ・インパクトは非常に大きいですね。僕がアメリカの中国専門家と話すと、尖閣問題なんかでも日本はなにトラブってるの? 中国を刺激すべきではないよ、というような見方が多かったですね。

原田:アメリカにとって、日中関係のこじれは厄介な問題でしかない?

加藤:アメリカとしては、中国との関係を戦略的にマネージメントしていきたい。だからこそ同盟国である日本には冷静に動いてほしい。尖閣問題で中国と揉めてほしくないという思いがすごく伝わって来ました。そういう意味で彼らのフラストレーションも感じました。

原田:でもアメリカからすると、日中があまり仲良くなられすぎるのも都合悪いわけですよね?

加藤:はい。でも、いまほどには悪化してほしくない。限度があるということでしょう。

原田:たしかに日本の報道などでは、なんとなく落ち着いちゃった感じにはなっていますけれど、実際いまの日中関係は依然として緊張状態が続いていると思います。

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