【財務 その2】 歳出削減のしくみを政府に組み込め!

ギリシャやアイルランドの財政破綻は記憶に新しい。一方で、1990年代、危機に陥らずに財政再建に成功した国があることはあまり知られていない。その国とは、スウェーデンやカナダだ。

両国ともに、社会保障費給付の削減に踏み切ることができたこと及び経済成長との両立ができたことが、財政再建の成功に大きく寄与している。同時に、歳出削減のしくみを導入していることが特徴的だ。

例えば、スウェーデンでは、予算決定プロセスを変更し、各省庁における歳出総額と歳出分野への配分を内閣主導で決定し、その中での裁量は各省庁に任せるという、トップダウンとボトムアップを組み合わせた仕組みをつくった。

もちろん、これらの国と日本とでは規模も条件も異なる。また、財政再建の勝ち組と負け組とを分けるのは、最終的には国民の危機感と政治のリーダーシップ、言い換えれば、国民と政治家双方の「覚悟」の問題と言えるかもしれない。覚悟を基に、現状の非効率なシステムを排除して、歳出削減のしくみを制度として政府に組み込むことは極めて重要だ。

1. 財政健全化法の制定を!

古今、財政再建への努力は、政治的圧力によって先送りされることが多い。政治家が目の前の選挙に勝つために、地元へのバラマキ予算や減税を実施したり、給付の削減や増税といった国民・有権者に痛みを伴う改革を先送りしたりするためだ。

その点においては、選挙に不利なことを承知しながら、財政構造改革の一環として社会保障費削減に踏み込んだ小泉政権や、昨年、社会保障と税の一体改革の一貫として消費税の増税を決めた野田政権の姿勢を私たちは、積極的に評価すべきであろう。

GDPの2倍という歴史的な債務残高を抱えるまで財政問題を先送りしてきてしまった日本にとって、財政再建は政治家の選挙のための政策ではなく、50年後の未来の日本のための改革である。特に、現時点で選挙権を持たない子供達のために、「何を残すのか?」と言う視点で考えることが重要である。

そのためにも、選挙での当選を最優先しがちな政治家によって財政再建が先送りされることがないよう、強制力を持った「財政健全化法」を策定すべきである。

財政健全化法によって、プライマリーバランスを2015年度までに半減させ、2020年度までに黒字化するという歳出削減の目標と、その実現に向けた行動を内閣の義務とさせる必要がある。不達成の場合には、歳出や社会保障費の上限をGDPに連動させる「GDPキャップ制度」についても規定すべきであろう。

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