TPP脱退という選択肢はない 政治もメディアも国民もリアリズムを受け入れよ
TPP交渉参加に反対する農業関係者(2011年10月) [Photo] Bloomberg via Getty Images

 マレーシア・コタキナバルで開かれている環太平洋連携協定(TPP)の交渉会合に、日本が初めて参加した。約100人の政府代表団だけでなく、自民党は西川公也TPP対策委員長ら4人の国会議員も送り込んで、農業の重要5品目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物)の高関税を死守する構えだ。

 自民党は先の参院選を前に、参加慎重派の議員でつくる「TPP交渉における国益を守りぬく会」(森山裕会長)が「国益が確保できないと判断した場合は交渉からの脱退も辞さない」とする決議をまとめ、政府に提出している。

 これを受けて、党の参院選公約は「交渉力を駆使し、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求します」と記した。
 これだけ読むと、場合によっては「交渉脱退もありうる」と読めなくもない。

TPP脱退という選択肢はありえない

 だが、本当に脱退する選択肢があるのだろうか。答えはまず、ない。

 こうはっきり書くと、マレーシアの現地で苦労されている自民党議員には申し訳ないような気もするが、なぜかといえば、これまでコラムで何度か書いてきたように(たとえばこの記事)、安倍晋三政権がTPP交渉参加を決断した背景には、大きく2つの譲れない理由があるからだ。

 それは安保防衛上の配慮、それに国内の構造改革加速である。

 新聞などメディアはなぜか真正面からズバリと書こうとしないが、この2つはいずれも日本が避けて通れない問題だ。もしも日本が交渉には参加してみたが結局、TPPの枠組みには不参加という判断をするなら、日米同盟は大きく揺らぐ。かつ国内の改革は進まず、再び経済停滞の泥沼に足をすくわれかねない。

 安倍政権にとって、それは「できない相談」である。だから重要5品目の関税引き下げで譲歩することになっても、TPPは参加する以外に選択肢はない。ということは、これからはまさに「条件をめぐる交渉」になるのだ。ここを間違えてはいけない。

 できない話をあたかもできるかのように考えて対処するのと、初めから着地点を想定しながら対処するのでは、まったく結果が異なってしまう。
 だから、農業関係者には「もはやTPP不参加という選択はない」ことを前提にして、対応策を考えるよう勧めたい。

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