この著者に聞け
2013年07月26日(金)

裁判官とはいかなる人種か? ~安倍政権の風圧を受ける「ガラス鉢の金魚」たち

『法服の王国』著者: 黒木亮

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 三権の一翼を担い、正義の最後の砦となるべき重要な役割が与えられているにもかかわらず、裁判官たちの実像はほとんど世に知られていない。弁護士や裁判所職員でもない限り、裁判官を個人的に知っているという人はほとんどいないだろう。

 裁判官たちの生身の姿を白日の下に晒してみたいと思い、『法服の王国』を今般上梓した。取材では、元最高裁判事や元高裁長官から任官数年目の判事補まで24人の裁判官(元裁判官を含む)と12の弁護士に会った。

酒を飲んで留置所に入り、麻雀卓をひっくり返し・・・

黒木亮氏近影(法務省前にて)

 裁判官になるには、国家試験中最難関といわれる司法試験に上位で合格し、かつ司法研修所の卒業試験(通称・二回試験)でも好成績を収めなくてはならない。任官後は外の世界と接触せず、「ガラス鉢の金魚」のような日々を送るが、彼らも人の子であることに変わりはない。

 ひたすら書面を読み、法廷に出て、合議体(訴訟を担当する三人の裁判官)内で議論をし、ひたすら判決を書く仕事はストレスが溜まりやすく、発散するために酒を飲む裁判官は多い。酔って警察の留置所で一晩を過ごし、知り合いの検察官に出してもらった裁判官もいるという。

 地方支局勤務時代に裁判官と付き合いがあった新聞記者は「世間ずれしていないぶん、彼らは酒の飲み方が下手ですね」と苦笑する。

 最高裁判事(在任昭和54年~61年)も務めた木下忠良氏は、戦後リベラル派裁判官の牙城・大阪地裁の所長などを務めたが、いつも鳥打帽をかぶって出勤し、所内の慰安旅行で若手の裁判官たちが部屋にこもってマージャンをしていたのに怒って、マージャン卓をひっくり返したこともあるという。また大の阪神タイガース・ファンで、試合を観に行った若手の裁判官たちが下品な野次を飛ばす男がいたので、誰だろうと思って見たら、木下氏だったそうである。

 ある著名な女性裁判官は、気に入らない部下を路上で平手打ちにし、慰安旅行で男性の同僚裁判官と浴衣姿でキスをしている写真を撮られたりするような奔放な性格だと聞く。

法服の王国 小説 裁判官(上)』
著者:黒木亮
産経新聞出版 / 各巻税込み1,890円

◎内容紹介◎

人権の守護神か、非情の判決マシンか!? これが裁判官の実態だ! タカ派長官による粛清人事、「売上げ」という名のノルマ、蠢く政権与党、白熱する原発訴訟---裁判所のベールを剥ぐ、平成の「白い巨塔」待望の登場!

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