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特別読み物「ムムム農場」にすべてをかけた元日銀支店長の楽しき人生 農薬ナシ、化学肥料ナシ、畜産廃棄物を使わない画期的農法
〔PHOTO〕gettyimages

 将来を約束された日銀マンが、出世ルートを捨て、香川県で農業を始めた。その名も「ムムム農場」。成功するのが難しいことは百も承知。クワも持ったことがない男が、農業に挑戦した理由とは。

すごく美味しい野菜ができた

 日銀マンだった私が、農業に興味を持ったのは、40歳の時でした。

 当時は、今より体重が25kgも多く、血圧や尿酸値など健康診断で下される数値はどれもひどかった。このままではすぐにでも体を壊すと思った私は、様々な療法を試しました。

 中でも効果的だったのは、穀物と菜食中心の食事へと移行したことです。肉食をやめ、次第に、化学肥料や農薬を使った野菜を食べるのもやめました。そのため、農薬を使った野菜を食べると、首や背中に湿疹ができるようになったのです。

 体は、早く悪いものを外に出そうとします。いい野菜を食べるうち、私の体は、受け入れるべきでない化学物質を機敏に排出できるようになっていたのです。

 村山昇作氏は'49年京都府生まれ。同志社大学を卒業後、'72年に日本銀行入行、高松支店長、調査統計局長などを歴任。役員就任が視野に入った出世ルートを歩んでいた。

 ところが'02年に、その職を捨て、香川県の製薬メーカー・帝國製薬の社長に転職し、貼り薬を欧米へ広めた。社員の中には「海外には貼り薬を使う文化はない」と進出を恐れる者もいたが、村山氏は「だからこそ進出するのだ」と世界各国のメーカーと手を結んでいった。同社は現在、貼り薬のシェアで世界トップに君臨している。