「名将」と呼ばれた男たち連続インタビュー 高校野球は監督で決まる

浦和学院、常総学院、光星学院、高知高校ほか
週刊現代 プロフィール

「うちのチームに常に付きまとうのは県外の選手が多いということ。何かというとマイナスなイメージに受け取られる。だから軽はずみなことは言えないという習性が染みついている」

 光星は野球の強豪校であると同時に、いわゆる「野球留学」校としても有名だ。後発の高校ゆえ地元では選手が集まらないという背景もあり、主に近畿圏から優秀な選手を集め、瞬く間に全国区にのし上がった。

 強いが、悲運のチームでもある。'11年夏、'12年春夏と連続して甲子園の決勝戦まで進みながらも、いずれも敗退。史上初となる3季連続準優勝に終わった。

 忘れられないひと言がある。

「コンディショニングです」

 '11年夏の甲子園だった。仲井は日大三高との決勝を数時間後に控え「勝機があるとしたら?」という質問に対し、冷静な口調で、そう答えたのだ。

 下馬評では投打に勝る日大三が圧倒的に有利だと言われていた。だが組み合わせ抽選の綾で、2回戦から登場した光星学院は、1回戦から戦っている日大三より決勝まで1試合少なかったのだ。だが、ここまできてそれが勝機になるとは思えなかったし、もっと言えば、「将」の言葉としてあまりにも覇気がなかった。

 仲井が苦しい胸の内を明かす。

「初めての決勝なので他に言いたいこともあった。でも、いつも以上に言えない状況でしたね。口が裂けても……というか」

 '11年は東日本大震災が起きた年だ。東北を思う気持ちはあったが、それを口にすると逆に反感を買う怖れがあった。だから無難な言葉を選ばざるを得なかったのだ。昨夏もそうだった。

 光星は3番・田村龍弘(千葉ロッテ)、4番・北條史也(阪神)という超高校級スラッガー2人を擁し、青森史上最強とまで言われた。準々決勝では、大会記録となる1試合22奪三振をマークしていた桐光学園・松井との対戦を前にして、仲井は決然と言ったものだ。

「こういう好投手を打つために練習してきた。自分たちのスイングを貫く」

 そうして「策なし」で臨み、大会ナンバー1投手を3-0で打倒。続く準決勝も突破し、光星学院は3季連続決勝進出を決めた。

 決勝の相手は、春に敗れた大阪桐蔭だった。東北勢として悲願の初優勝もかかっている。語る物語はいくらでもあった。しかし仲井はほとんど言及しなかった。大人と言えばそうだが、もったいない気もした。メディアを利用し、光星に流れを引き寄せるのも戦術のひとつだからだ。