「名将」と呼ばれた男たち連続インタビュー 高校野球は監督で決まる

浦和学院、常総学院、光星学院、高知高校ほか
週刊現代 プロフィール

 森は一見すると強面だし、威圧感がある。だがそれは繊細さの裏返しでもある。

 10年ほど前、パニック障害にかかった妻から「私の話を聞いてくれない」と責められて憔悴していた時期がある。その後、森は胃潰瘍を患った。

「家族が僕の生活の基盤。そこがうまく回らないと野球もダメになる」

 昨年、選抜大会で2勝を挙げ初戦連敗記録をストップ。続く夏は初めて2回戦の壁を突破し、3回戦まで駒を進めた。初めて甲子園で年間4勝を挙げ、森の中で何かが変わった。

「これまでは甲子園の優勝が、あまりにも偉大過ぎた。だから全国制覇と言いながらも本気じゃなかった。でもその覚悟ができた」

 この春、参加校の監督の甲子園出場回数を見ると、トップの18回だった。「これは優勝しないと」とさらに決意を固めた。

「できたらいいな、じゃなくて、するぞ、と」

 やることはたったひとつだった。「取り越し苦労をしないこと」

 絵に例えれば、ほとんど白紙の状態で臨んだ。

「試合の中で描いていけばいい。それを楽しもうという気持ちでいった」

 優勝翌日の朝、初めて勝つことの喜びを知った。

「こんなにいいもんなんだな、って。それまでは罪悪感でいっぱいでしたから」

 が、同時に新たな怖さも襲ってきた。

「チャンピオンベルトを巻いてコーナーに戻ったら、もう夏のことを考えていた。勝ってもまだ怖い。これが夏だったらよかったのにって思いましたよ」

 7月1日、桐光学園との練習試合では、アマチュアナンバー1左腕の松井裕樹から18三振を奪われ、わずか1安打で敗れた。

「夏は選手の完成度が春とは違うから、簡単じゃない」

 本当の戦いはこれから始まる。

"外人部隊"と呼ばれて

 青森のために—。そう言えない状況が勝ち切れなかった理由かもしれない。

 八戸学院光星(この春、光星学院から校名変更)の監督、仲井宗基が言う。