佐々木芽生 第4回 「全米50州の美術館に計2500点のヴォーゲル・コレクションを贈る計画を通じてロード・ムーヴィを撮りたかったんです」

撮影:立木義浩

第3回はこちらをご覧ください。

シマジ 佐々木監督と対談するに当たって、わたしは『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』の続編『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』を恵比寿の写真美術館で2日続けて2回観ました。観れば観るほどよく出来たドキュメンタリー映画だと感服しました。いい映画は何度観ても新しい発見がありますね。

佐々木 有り難うございます。

シマジ 後編のほうが現代アート作品がたくさん出てきて愉しかった。欲しいと思う作品がいくつもありました。わたしは改めてハーブの審美眼に脱帽しました。

佐々木 ニューヨークに住む普通の市民だったヴォーゲル夫妻が、自分たちの給料で買える作品をこつこつと何十年もかけて集めた結果、ふたりは偉大な現代アートコレクターになっていたんです。

 しかも作品は自分たちの給料で買える範囲のものであること、1LDKのアパートに収まるサイズであること、と自然に限定されていました。

セオ ふたりは好きなアートをみつけるのに知識や理屈は必要ないということをわたしたちに教えてくれています。

シマジ 買った作品をベッドの下に仕舞い込むこともあったので、買いまくっているうちにベッドがだんだん高くなっていったという話は傑作ですね。

佐々木 まさに足の踏み場もない状態だったんです。その上、ふたりは17匹の亀と金魚と猫を飼っていました。

シマジ 2人とも動物好きなんですね。たしか映画のなかでも、毛並みのいい猫がアート作品がぎっしり置いてある部屋のなかを窮屈そうに歩いていました。

佐々木 ドロシーはいまもアーチーという名のオス猫を飼っています。