中国
安倍首相は「断固たる態度」を貫けるか!? 参院選大勝利の裏で拡大する中国との"領土戦線"
〔PHOTO〕gettyimages

 日曜日の参院選は、まさに安倍・自民党の歴史的大勝となった。安倍首相は「勝利宣言」を行い、これで立法府と行政府を抑え込んで、国内では敵なしの状態となった。

 だが、安倍首相の"戦い"は、これで終わりではない。"国内試合"で勝利したあとは、中国との"アジア選手権"が控えているからである。

 このところ日本では参院選の話題ばかりで、領土問題を巡る中国との"衝突"に目が行かなくなってきているが、摩擦が止んだわけではまったくない。むしろ、"戦線"は拡大していると言える。

東シナ海で進む中国のガス田開発計画

 7月14日未明、中国海軍の艦艇5隻が、北海道とサハリンの間の宗谷海峡を、初めて通過した。中国海軍は前日まで、ロシア海軍との大規模な合同軍事演習を行ったばかりである。今回、中国艦艇が通ったルートは日本の領海ではないが、北海道近海には違いない。今後の中国海軍の東アジア展開を占う意味で、大変気になる動きである。

 続いて17日には、中国が現在、東シナ海で新たなガス田計画「黄岩2期」「平北1期」「平北2期」を進めていると、ロイター通信が伝えた。計7つの計画のうち、「黄岩2期」の二つのガス田は、日中中間線付近だという。

 日中中間線は、日本が沖縄諸島と中国大陸の中間に引いたもので、排他的経済水域の境界線であると主張しているが、中国は沖縄トラフまでを自国の排他的経済水域であるとして、日中中間線を認めていない。

 この新たなガス田問題は、7月始め頃から明らかになったが、ようやくその全貌が分かってきた。中国は、いつまで経っても尖閣問題で日本が譲歩して来ないため、「切り札」の一つを切ったものと見られる。

 これに対して菅官房長官は、18日午前の記者会見で、「現在、政府として調査中であり、仮に一方的に開発を進めるということであれば認められない」として、中国への反発を露わにした。そこである日本政府の専門家に確認を取ると、次のように答えた。

 「そもそも東シナ海にそれほどのガス田は眠っていません。それほど大きなガス田があるなら、あれだけエネルギーに貪欲な中国は、とっくに掘りまくっているに決まっています(笑)」

 安倍首相も、17日と18日に急遽、沖縄入りし、17日には「選挙応援」の名のもとに、尖閣諸島に近い石垣島と宮古島の海上警備現場を視察。「尖閣は歴史的にも国際法的にも日本固有の領土で、領土問題はない。われわれは一歩たりとも譲歩する考えはない!」と力説したのだった。

 これに対して中国は、18日の外交部定例会見で、「釣魚島は中国固有の領土であり、徹底して守り抜く」と改めて語った。

 北京2大紙の一角である『京華時報』も、同日付で、「日本列島は新たな戦争の悪夢に突入した」と題する物騒な記事を載せた。

 同紙報道によれば、「安倍首相は1972年の沖縄復帰以後、石垣島と宮古島を両方訪れた初の首相であり、戦後最も好戦的な首相」だという。そして「両島は釣魚島から180㎞しか離れておらず、今回の安倍首相の沖縄パフォーマンスは、戦争動員の準備だと思われても不思議ではない」と一刀両断している。最後には、「沖縄戦で市民の4人に一人が戦死した沖縄人は、"危険な政客"安倍首相の"悪夢の催眠術"にかかってはならない」と警告したのだった。

 同日の中国国営新華社通信も、「安倍の"登島"と再度、釣魚島を語った意図はどこにあるのか?」と題する長文の記事を出した。そこでは3人の日本専門家たちがコメントを寄せ、「安倍首相の意図=参院選のパフォーマンス」と分析しながらも、「こうした行為が、中国のみならずアジア諸国の不安を煽っている」と批判した。

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