雑誌
話題の本の著者に直撃! 森見登美彦
現実と別の世界があると考えると
生きるのが少し楽になります

もりみ・とみひこ/'79年奈良県生まれ。京都大学大学院修了。'03年、在学中に執筆した『太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、小説家デビュー。'07年『夜は短し歩けよ乙女』で第20回山本周五郎賞受賞〔PHOTO〕松村真行

取材・文/城島 充

—3年ぶりの長編となる本作は、朝日新聞夕刊に連載されたのち、改稿されています。一部ではなく、ストーリーの軸を含めて全面改稿された背景にはどんな思いがあったのですか。

 新聞連載を引き受けるときは、不安がありました。他の連載も抱えていましたし、当時は国会図書館で働いてもいましたから。断れるものなら断りたいとも思いましたが、両親から「新聞に小説を連載するということは世間に認められたということだから」と背中を押され、僕自身もここで断ったら二度とこういうチャンスは来ないかもしれないと思うようになりまして、引き受けることにしました。

聖なる怠け者の冒険
著者:森見登美彦
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聖なる怠け者の冒険』というタイトルは語感が面白くてつけたのですが、どんな形で物語を完結させるか、最初から決めていたわけではありません。ストックは3週間分ぐらいしかなく、いろんな話を転がしながら、次の展開を探っていく感じでした。新聞は読んだり読まなかったりする日があるでしょうから、一回一回を面白くしようと心がけていました。

小説家として次に進めない

 ところが、連載の途中からは「とにかく無事に終わらせること」が目標になってしまった。毎日原稿を書くなかで、日々思いつく話を入れすぎて、話がどこにいこうとしているのかわからなくなったんだと思います。