『消費税率10%』は1年先送りか 参院選圧勝を前に16年夏W選挙後の検討が始まった
[Photo] Bloomberg via Getty Images

 明日7月21日に投開票される第25回参院選は、与党の自民党(総裁・安倍晋三首相)と公明党(山口那津男代表)の圧勝に終わる。極論すれば、焦点は自民党が単独過半数を制する72議席に届くのかどうかだけである。

 一時期、自民党にその勢いがあったかに見えたが、選挙戦終盤になってやや失速した感が強い。現時点(7月19日)での筆者の見立ては、自民党は68議席プラスマイナス2である。公明党が10~11議席獲得するので、両党の非改選59議席を合わせれば、参院の絶対安定多数の135議席をクリアする可能性が圧倒的に高い。安倍首相は念願の衆参のねじれ解消実現だけでなく、長期安定政権確立も夢ではなくなった。

 もちろん、これから安倍政権が越えなければならないハードルは依然として存在し、それは決して低くない。言うまでもなく、今秋の消費増税の決断である。安倍首相は公約したように9月末から10月初旬にかけて、来年4月からの現行消費税率5%を8%に引き上げ実施を決定しなければならない。消費増税決定となれば、今秋から来年初春までの駆け込み需要は飛躍的に増大するが、期間はともかく、その後日本経済・景気が再び失速する心配は拭えない。再回復には時間がかかる。

消費増税嫌いの麻生財務相はすでに決断している

 それでも安倍首相は、最終的に税率引き上げを決断するはずだ。先ず、所管大臣である麻生太郎副総理・財務相が消費増税を決めていることがある。
 財務省(木下康雄財務事務次官・1979年旧大蔵省入省)の事務方が麻生財務相にその必要性を繰り返し訴えてきたこともあるが、それよりも、もともと「消費増税嫌い」の麻生氏自らが、これまで財務大臣として国際通貨基金(IMF)や世界銀行のトップ、そして主要7ヶ国(G7)の財務相、さらには欧米の金融機関最高幹部との接触を通じて、日本が財政再建に向けた意思表示をしなければ国際市場からペケ印を付けられ、日本経済再生は見果てぬ夢となると深く認識しているからだ。

 その点では、安倍氏と麻生氏の間に齟齬はない。官邸の安倍周りだけでなく、安倍首相自身、財政再建の重要性を理解している。
 だが、政治の世界は正論や建前だけでは立ち行かない。安倍政権の消費増税工程表は、改めて指摘するまでもないが、2014年4月に税率を3%引き上げて8%、15年10月にさらに2%引き上げて10%にするという2段階増税案である。

 ところが、現在、安倍周りで密かに検討されているウルトラCは、15年引き上げを16年夏の衆参ダブル選挙後に先送りするというものだ。
 マスコミ界のドン、渡邉恒雄読売新聞グループ本社会長兼主筆が消費増税に反対していることは知られているところだ。渡邉氏は、14年の3%引き上げを見送って15年10月に一気に10%に引き上げるべきだと主張している。安倍首相が何も渡邉会長に気を使っているというのではない。税率引き上げを1年毎に実施するより多少の時差を設けたほうがいいという判断と、それより何によりも景気に与える影響を読みきれないこところから来る不安が、そうした極秘案を検討し始めさせたのではないか。

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