古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン動画版Vol.006 「新規制基準施行で原発の安全審査はどう変わるのか?」ほか
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【目次】

■古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン動画版の書き起こし(動画版第6回 2013年6月28日配信)

 ●新規制基準施行で原発の安全審査はどう変わるのか?
 ●東京都議選の結果と参院選の展望
 ●英国サミットにおけるアベノミクス評
 ●安倍首相のフェイスブック発言
 ●この夏の節電について
 ●関西電力の停電騒動について
 ●東京電力と距離を置く電気事業連合会
 ●北海道の下川町の取り組み
 ●ネルソン・マンデラ氏の思い出

新規制基準施行で原発の安全審査はどう変わるのか?

現代ビジネス編集部(以下Gbiz): 「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」、いつもご愛読いただきましてありがとうございます。今日は動画版の第6回目ということになります。では、古賀さん、よろしくお願いします。

古賀茂明(以下古賀): よろしくお願いします。今日は実は都議選が終わってすぐの段階で、配信されるのは金曜日になりますけれども、その話と、その前に、この間発表されました、原発の新規制基準。これが19日に発表になったんですが、7月8日から施行されるということで、それについても一言。あと、いろんな話をちょっとずつお話ししたいと思います。

Gbiz: よろしくお願いします。

古賀: まず最初に原発の基準の話なんですが、安全基準の問題はいままでずいぶんメルマガにも書いたり、あるいは動画版でお話したりしていますので、今回、中身には敢えて触れませんけれども、肝心なのは、この安全基準ができて、これからどうなるのかということです。

 安倍さんをはじめ自民党政権は、原発再稼働に非常に前のめりになっていますので、基本的には一つでも多く再稼働しようと、あるいは少しでも早く再稼働しようという方向に進んでいくだろうなと思います。

 この安全基準で日本の原発の安全性が飛躍的に高まるということは基本的にはないんですね。何かすごく変わったことが起きるかというと、そんなことはありません。基本的にはいままでの延長線上になってしまったというのが最大の問題なんですが。

 いままで基準の中身の話を主にしてきたんですけれども、新基準がとりあえずできてしまって、これで行くということになったんですが、実はこの先の最大の問題は、この基準を本当にその通りに実行できるのかということです。

 実行できるのかというのは、やる気の問題もあるんですけれども、そもそも能力の問題というのがある、と。原子力規制委員会というか、実際に現場で動くのは規制庁の人たちですけれども、検査をやる人とか、いろんな審査をやる人、そういう人たちにどれだけの能力があるのかというのが非常に気になるところなんですね。

 これは、ただ、実際にいま働いている人がどういう人たちなのかということを考えるとほとんど自明なんですけれども、基本的に昔あった原子力安全・保安院という、経産省の傘下にあった組織で働いていた人、あるいは文科省で働いていた人、つまり以前の古い体制の下で原子力安全について仕事をしていた人たちが大量に出向してきて、そこでこれから実際の安全審査、あるいは検査をやっていくということになるわけです。

 もともとここにいる人たちのうち、本当の原子力の専門家というのは数えるほどしかいないと言っていいと思うんですね。もちろん、原子力の専門家だけではなくて、工学系、あるいは理学系、いろんな専門家が必要なんですけれども、そういう本当の意味での専門家が実はそろっていない。

 去年、30人ぐらいでしたか、ドクターを持っている人たちを大量採用するということで募集をかけたりしていましたけれども、そういうところを見ても、その人たちをこれから育てていくという段階なんです、実は。

 それがちゃんとできるのかというのが、一番の課題ですね。それで、それがわずか数カ月でできるかというと、とてもそんなことはあり得ないので、結局、走りながらというか、勉強しながらやっていくという状況になります。最初に審査して、再稼働を認めますよというのを出すところでは、たぶん相当レベルの低い審査、検査しかできないだろうなというふうに思います。それがちょっと怖いな、と。

 それから、テロ対策というのが一応、今度の安全基準の中に入ってきたわけですけれども。これが日本ではほとんど役に立たないんじゃないかなと思うんですね。この間、あれは確か「報道ステーション」だったと思うんですけれども、アメリカの原発の規制で、テロ対策をどれぐらいやっているかというのをやっていました。あれ、映像で見るとすごく迫力があって、おもしろかったですけれども、本当にものすごい武装をした兵士が100人以上いるんですよ、一つの原発に。そういう人たちが常に動いている。

 それから、もう一つ、検査官たちも完全に独立していて、いつでも、どこでも立ち入りできるんですね。抜き打ちで、日常的に。だから、「ちょっとここ、入るよ」というか、事前に「行くよ」と言わないで入っていっていいんですよ。というぐらい非常に独立性が高い。ですから、すごい緊張感が出てくるんですよね。

 日本の検査のやり方というのは基本的に、「何月何日何時から何時まで検査に行きますよ」と言うと、電力会社のほうが下準備をして、じゃあ、こことこことここを見てくださいとやるんですね。アメリカみたいに、いつでも入れますという状況には、たぶんならないだろうなと。

 そもそも検査官がいるところが原発から離れたりしているんですよね。アメリカなんかは、原発の敷地の中にいて、いつでも入れるんですけれども。そこらへんの体制がかなり違うので、日本も本当にできるか、というのは非常に不安だということを申し上げておきたいと思います。