佐々木芽生 第3回 「ハーブとドロシーが買ったという噂が広まると、そのアーティストに箔がついて作品が高く売れるんです」

撮影:立木義浩

第2回はこちらをご覧ください。

シマジ 佐々木監督のドキュメンタリー映画の作り方は、最初にシナリオがあるんですか?

佐々木 いいえ、シナリオはないのですが、ビジョンは必要です。その上でファクトを撮り続けるんです。それを全部観てみて、あとから編集していきます。アメリカ人女性の素敵な相棒のエディターと徹底的に議論しながら、最終的に作品に仕上げていきます。

シマジ なるほど。「事実は小説より奇なり」というのがドキュメンタリー映画の命ですからね。作りもののドラマより、そこにこそ観客は感動するのでしょう。監督のあの感性は多感な高校生時代に培われたものなんでしょうか?

佐々木 そうかもしれません。札幌南高校は変わった学校でしたからね。卒業が近くなると、教室の窓から雪が積もった校庭に、先生を順番に投げるという伝統がありました。それは生徒たちによる一種の感謝表明の儀式だったんですが、禿げた先生にはしっかりと毛糸の帽子を被せて二階から投げていましたね。

シマジ せめてもの惻隠の情ですか。

セオ そうすることで、先生と生徒の仲がより緊密になり強い信頼感が芽生えてくるんでしょうね。

立木 しかし、雪国でしか出来ない儀式だよね。

シマジ そういう環境で教育を受けて、佐々木監督は人生のファクトの面白さに目覚めていったわけですね。

セオ 空から教師が降ってくるのが、フィクションではなく現実なんですからね。