10年以上も上昇を続ける高過ぎる投信手数料は 投信統合簡易化で本当に下がるのか
[Photo] Bloomberg via Getty Images

「投信統合、手続簡単に 手数料下げ促す」

 そんな金融庁の方針を、7月11日付け日本経済新聞が朝刊1面で報じた。「投信の数が急増し、手数料が過去最高水準に達しているため」、金融庁が「投資家に不利益が生じていると判断」、「投資信託の統合を促す」という内容だった。
 投信の手数料が株式売買手数料などに比べて高過ぎなのは明らかで、これが投資家の不利益を生じているという金融庁の認識は正しいだろう。
 だが、数多くある投信を統合すれば、本当に手数料は下がるのだろうか。

管理コストが下がれば手数料は下がるのか

 記事によれば、理屈はこうだ。投信の残高が小さいと投資家をつなぎ留めるのが難しくなり、残高に占める管理コストの割合は高まる。こうした投信を統合することが簡単になれば、効率化できて、管理コストが下がる。そうなれば、手数料の引き下げにつながる、というのである。

 これまで投信を統合するには、過半数の投資家の書面による承認決議が必要で、現実に統合する投信はほとんどなかった。金融庁は、「同じ種類の資産を組み入れ、投資家に不利益にならないような資産内容の変更にとどまる場合」、書面決議を不要にする方針だという。異なる投資対象や方針を採用している投信の合併は従来通り書面決議を義務づけるとしているが、これについても要件を緩和する方向らしい。

 投信統合の議論は、金融庁の「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」で出てきたものだ。金融審議会の委員を中心とする学者や弁護士など専門家で構成され、2012年3月から12月まで13回にわたって議論された。その最終報告には投信の併合手続き、つまり投信統合の問題が「書面決議を要する併合手続の見直し」と題して、こう盛り込まれていた。

 現在、投資信託間の併合に当たっては常に双方の投資信託において書面決議を要することとされている。これが、非効率な小規模投資信託を存続させ、ひいては経費率の上昇を通じて受益者の利益を害しているおそれがあると指摘されている。投資信託の併合を促進する観点から、併合の前後で「商品としての基本的な性格」に相違がない投資信託については書面決議を不要とすることが適当である。

 このワーキンググループの議論の過程ではこんな指摘も出ていた。

 ドイツ証券の村木正雄シニアアナリストが提出した資料には「大手リテール証券の収益構成比の推移」というグラフがあり、投信販売手数料の収入割合が年々上昇、2009年以降、35~45%に達していること、その一方で、投信残高に応じて入る収入は年々低下、15%前後に留まっていることが図示されていた。
 ちなみに株式売買手数料10~15%となっている。つまり、大手証券の収益が圧倒的に投信販売の手数料に依存しているかを示していたのだ。これは銀行にしても同じで、銀行の収益に占める投信販売手数料の割合は年々上昇していた。

 日本で販売されている株式公募型の投信は約4000本で、年300本近い新商品が発売されている、と日経新聞の記事にもある。とにかく投信の新商品を売り出し、新しい顧客の資金を獲得することで販売手数料を稼ぐ。そんなビジネスモデルに証券会社も銀行もなっているのだ。

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