スポーツ

ザ・スカウト——プロ野球伸びる選手
伸びない選手「ここが違います」

無名時代から彼らの才能を見抜いていた人びと ロッテ・西野、西武・十亀、広島・菊池ほか

2013年07月22日(月) 週刊現代
週刊現代

 野球が上手いのは大前提なのがプロの世界。成功するか否かをわけるのは、特別な「何か」があるかどうか。今季躍進する選手たちを見出した凄腕スカウトたちが、彼らに見た、ずば抜けた才能を語る。

どん底でもめげない

「西野を獲得したとき、育成枠ゆえの不安がありました。当時、育成選手はチームの合宿所に入れなかったため、西野は一般社員の独身寮に入ったんです。寮から合宿所までの距離は自転車で5~6分。西野は毎日、自転車をこいで通っていた。他の選手と情報共有することもできなければ、刺激を受けることもない。はっきり言ってしまえば、野球をする絶好の環境とは言えなかった。しかし、西野は環境に不貞腐れず、生活も乱れなかった。

 プロになって給料をもらうようになると、勘違いをして練習を疎かにし、消えていく選手もいる。私は何人もそんな選手を見てきました。その点西野は、目が届かない一般社員の独身寮だったにもかかわらず、一切心配いりませんでした」

 そう語るのは、千葉ロッテマリーンズスカウト・山下徳人氏。今季チームトップの7勝(7月4日現在・以下同)を挙げ、大躍進を遂げた千葉ロッテマリーンズ投手・西野勇士(22歳)を見出した人物だ。

 西野は'09年に育成ドラフト5位でロッテに入団。入団時の背番号は育成の証である3桁、「131」だった。昨季までの4年間は選手登録されることはなく、成績は二軍で2勝7敗。いつ戦力外を通告されてもおかしくなかった。

 それだけに、今季の活躍には誰もが驚かされた。だが、山下氏だけは西野の覚醒を信じていた。

「西野を最初に見たのは、新湊高校(富山)2年の秋の大会です。新湊は公立校で、すぐに負けてしまう可能性があったので、1回戦から見に行きました。

 まず目についたのは体の大きさと腕の柔らかさ。スピードガンの表示は140kmを超えていましたし、それ以上のキレも感じた。潜在的な能力が高いなと思いました。三振をとれるフォークも良かったですね」

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