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シリーズ第2回 経営者とは何か「JALを再建した」稲盛和夫に何を学ぶか
〔PHOTO〕gettyimages

 破綻したJALを、たった2年半で復活させた。自ら興した京セラ、KDDIは、いまや世界的大企業に成長した。「再建」と「創業」—。ともに成し遂げた経営者は、世界を見渡しても類を見ない。

なぜか中国・韓国で大人気

 今月初め、中央日報のニュースサイトが、京セラ創業者の稲盛和夫氏を「経営の神」として取り上げる記事を掲載した。韓国最大の新聞社が、日本の経営者を絶賛するのは珍しい。

 記事のタイトルは「朴槿恵(大統領)の手帳にはなぜ稲盛氏がいないのか」。その内容は、おおよそ以下のようなものだった。

 折しも韓国では公的企業へ官僚が天下る人事が次々に発令。何もせずに高年俸をもらう彼らに、国民の反発が高まっている。一方で、隣国・日本に目を移すと、同じく天下り人事の温床になっていた日本航空(JAL)を、無報酬で投入された稲盛氏がV字回復させている。彼我の差は歴然としている—。同記事はこうした内容を記したうえで、「韓国版の稲盛氏」はいないのかと嘆いているのだ。

 実はいま、中国でも稲盛氏への注目が高まっている。稲盛氏の著書『生き方』(サンマーク出版)は、100万部を超える異例の大ヒットを記録。さらに、稲盛氏が講演会や勉強会を開けば、数百人を超える聴衆が集まるという。

 もちろん、本国・日本でも稲盛人気は非常に高く、松下幸之助を超える名経営者と評する声すら出てきた。実際、日本能率協会グループが上場企業の取締役を対象に実施している調査では、昨年、理想の経営者として稲盛氏が1位に選ばれた。それまで3年連続1位だったのが松下幸之助だった。

 国内外問わず、ここまで注目が集まるのは、直近のJAL再建に目を見張るものがあったからだろう。そうした中で、この激動のビジネス時代において、稲盛氏がかかわる企業が圧倒的な実績を上げていることが再注目され始めた。稲盛氏の業績を列挙すると、以下のようなものがある。

●'59年、稲盛氏が27歳の時に創業した京都セラミック(現・京セラ)は、時価総額2兆円ほどの巨大企業に成長。
●通信自由化に伴い、'84年に第二電電企画(現KDDI)を設立。今では時価総額約4兆5000億円の大手通信会社にまで成長。
●'10年、経営破綻したJALの会長に就任。二次破綻も囁かれる中、約2年半で再上場にこぎつけた。
●多くの中小企業の再建にも貢献。稲盛氏を塾長とし、経営哲学などを学ぶ「盛和塾」は'80年代に始まった自主的勉強会だが、いまでは、北海道から沖縄、さらにアメリカ、中国、ブラジルにまで事務局を持つ世界的な経営塾に拡大。経営者を中心に会員は8000人を超え、稲盛氏の経営理念を学んだことで成功している者は数えきれない。

 パナソニック、シャープなど日本を代表する巨大企業がもがき苦しむ時代にあって、どうして稲盛経営だけが成功するのか。今回は、そんな稲盛経営を分析することで、経営とはなにかに迫っていきたい。

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