1年5ヶ月振りに輸出が減少に転じた中国に アメリカが迫る「影の銀行」改革
[Photo] Bloomberg via Getty Images

 7月10~11日の2日間、米中戦略・経済対話がワシントンで開催された。米側代表はジョン・ケリー国務長官とジェイコブ・ルー財務長官、中国側が汪洋副首相(中国共産党政治局員)と楊潔チ国務委員(外交担当・党中央委員)。
 ジョー・バイデン副大統領は同対話冒頭に演説、「米中以上に重要な関係はない」と述べた上で、「中国が消費主導型経済への転換や為替相場自由化を進めることで我々両国の利益になる」と、中国側に注文を付けた。

 それだけではない。注目すべきは、バイデン副大統領が開幕スピーチの中で「シャドーバンキング(影の銀行)」という言葉を使い、中国の金融システム問題における「影の銀行」改革を求めたことだ。

中国により効率的な金融システムの確立を求める

 金融機関を介在させずに企業同士や企業と地方政府の間で交わした資金が焦げ付く「影の銀行問題」は、今や中国経済のみならず国際金融市場にも影響を与え始めている。事実、ルー財務長官も声明の中で金利自由化を促すだけでなく、「より効率的な金融システムの確立」を中国側に強く求めた。

 その背景にあるのは、中国当局が10日に発表した貿易統計である。
 6月の輸出が前年同月比3.1%減と、1年5ヶ月ぶりに減少に転じ、中国経済の減速感が一段と強まった。翌日の新聞見出しは、「中国景気 軟着陸へ関門―輸出落ち込み鮮明」(『日本経済新聞』)、「中国 減速感強まる―輸出3.1%減。元高、欧州需要減で」(『読売新聞』)など、世界経済に多大な影響を与える中国経済の変調を報じた。

 外需の鈍化、伸び悩む内需、国内信用圧迫に加えて、習近平・新国家指導部の懲罰的な金融引き締めによってシャドーバンキング問題が深刻化しつつある。換言すれば、成長偏重主義を改め、腐敗や汚職の一掃、社会的公平、公正を重視するあまり、国民総生産(GDP)成長率の減速をもたらしかねないということである。

 中国経済は2008年のリーマンショック後の積極的な固定資産投資によって輸出の穴を埋めてきた。同投資の対GDP比率は07年の42%から10年に48%の高水準に跳ね上がった。新規投資が大幅に減少すれば、それだけ需要減退を引き起こし、企業収益は大きく下振れせざるを得ない。
 この間、高成長を維持してきた中国企業にとって、一時期の10%成長から5%成長への減速などとても受け入れられない。しかし、固定資産投資が減少すれば、成長率は大幅に減速する。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(7月2日付)は「中国の固定資産投資が40%減少すれば、GDPは20%減少する」と報じた。と同時に、在京外資系証券会社のトップは、次のように指摘するのだ。
 中国当局は、シャドーバンキング問題は財政出動(大型補正予算)で対処できるのに、敢えてやろうとしていない、と。
 むしろ、今回の意図的な金融引き締めにより信用圧迫を演出して不良債権処理を推し進めようとしているというのだ。

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