株主優待暮らしの元プロ棋士(桐谷広人七段)「資産1億円超」への定跡

2013年07月14日(日) フライデー

フライデー賢者の知恵

upperline
服も自転車も優待券で購入。カゴに優待券の入ったバッグを載せ、今日も店をハシゴする

「さみしい……ですね。実は失恋をきっかけに株式売買を始めたんです。昭和59年の春でした。結婚しようと思っていたのにフラれちゃって、非常に落ち込んでいました。そのときに、以前将棋の指導に出向いていた証券会社の人から株取引を勧められて始めました。証券会社に行けば若い女の子にも会えたしね(笑)」

 幼少の頃に出会い、プロになるまで究めた将棋のように、傷心の棋士はみるみるうちに株にのめり込んでいく。折しも日本は好景気に沸き、 '89年12月29日の日経平均株価は、3万8915円という史上最高値(終値ベース)を記録した。

 しかしバブルが崩壊し、それまで儲けた1億円がパーに……。それでも桐谷氏はくじけない。予期せぬゼロからのスタートを切るにあたり、今まで採っていた値上がり益を狙う方針から、配当の高い株、株主優待のある会社の株に特化して買うという新たな〝定跡〟を編み出した。棋士業の傍ら慎重な売買を続け、利益をあげていた彼に再び試練が訪れる。'07年のサブプライムローン問題、つづく'08年のリーマン・ショックだ。'07年にプロ棋士を引退し自由に使える時間が増えたこともあり、信用取引を頻繁に行うようになっていた桐谷氏。これが裏目に出て、当初は3億円近くあった資産が、約5000万円にまで激減する。それでもなお、桐谷氏は株式売買をやめなかった。

「一日2000万ぐらい損失が出るんですよ。株価がどんどん下がっていって、ここが底値だろうと思って大量に買うと、さらに底があった(笑)。ショックで、部屋を片づけられなくなりました」

 大損失を笑い話にしてしまうこの余裕は、厳しいプロ将棋界で数々の勝負をくぐり抜けてきたからこそだ。

「将棋は、相手の指す手に対する読みの深いほうが勝つ。株も同じ。円高やユーロ危機という局面で読みが深いと勝てる」

 何度もピンチを乗り越え、現在まで株だけで生計を立てていられるのも、将棋で学んだ「読み」と、なんとかして負けを取り戻そうとする勝負師根性のおかげというわけだ。桐谷氏の分析眼に、アベノミクスはどう映るのか。

「危険な賭けだと思いますが、期待はしています。『茹でガエル』という例えがあるでしょう。カエルを水の入った鍋に入れて徐々に温めていくと、気づかずに茹で上がって死んでしまうという話です。日本経済はデフレでいま茹で上がろうとしている状態。アベノミクスには、カエルを鍋からポンと飛び出させるようなきっかけ、刺激になってほしいと思います」

次ページ  経済評論家ばりに解説してくれ…
前へ 1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ