候補者の名前を絶叫する街宣車に笑いが止まらない!? 海外メディアが見た日本の選挙戦

2013年07月12日(金) 田村 耕太郎

これが21世紀の先進国の選挙なのか?

 選挙戦の真っ最中に、海外有力メディアの日本支社長さんたちと日本の選挙について意見交換した。彼らは「頑張っている候補者の皆さんには申し訳ないが、日本の選挙は見ていて笑いが止まらない」と口を揃える。友人もたくさん頑張っているし、かつて自分も候補者としてやってきたことなので、そのように笑われるのはいい気分はしないが、一歩引いて客観的にみれば彼らの言い分もわからなくもない。

 彼らがまず笑いのネタとして指摘するのは街宣車。いわゆる選挙カーだ。

 「テクノロジーとイノベーションの宝庫と言われる日本で、21世紀の今日、大きなスピーカーを付けた車が町中を走り回るというような選挙をやっていることは非常に大きな驚きだ。日本が議会制度を学んだ英国では、選挙カーもポスターもチラシもなく、候補者は選挙期間中の週末に揃って立ち合い演説会をするくらいだ」

 また、「選挙カーを追いかけてみたが、候補者の名前を絶叫して連呼する車が目立つ。政策も哲学も語っていない。いったい何の意味があるのか?」と聞いてくる。

 「政策を語っていたら誰の車かわからなくなる。自分がこの車に乗ってこの町まで来たということを知らせるために名前を連呼して走り回るのだ」と経験者の私が答えると、鋭い彼らは「そうか。我々はみなさんのためにこれだけ汗を流して声をからして苦労しています、と有権者に見せるためなのか」と仮説を述べる。まさにこの仮説が当たらずとも遠からずなのだ。そう、選挙は自分の頑張りを見せる機会なのだ。

炎天下に窓を開けて名前連呼する意味は?

 自分でも、初めて出馬した時に選挙戦を経験して、街宣車はおかしいと思った。確かに政治は机上の空論ではできないので、頭でっかちの人間が世間を知るために地べたを歩く意味はあると思う。選挙カーは世間知らずの頭でっかちが汗を流して声をからして走り回り、政治家へと変身するトランスフォーメーションプロセスの役割を果たすとの意見があるが、ある意味、そうなのかもしれない。しかし、街宣車が、候補者を政治家に変えていくために最も効果的なものだとは思わない。




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田村 耕太郎

(たむら・こうたろう) 前参議院議員。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。
1963年生まれ。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。デューク大学ロースクール修了(法学修士)、エール大学大学院修了(経済学修士)、オックスフォード大学上級管理者養成プログラム修了、ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了、スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了、東京大学EMP修了。
2002年から10年まで参議院議員を務めた間、内閣府大臣政務官(経済財政、金融、再チャレンジ担当)、参議院国土交通委員長などを歴任。
シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。世界の政治、金融、研究の第一線で戦い続けてきた数少ない日本人の一人。
2014年8月、シンガポールにアジアの地政学リスクを分析するシンクタンク「日本戦略情報機構(JII)」を設立。また、国立シンガポール大学(NUS)リー・クワンユー公共政策大学院の兼任教授に就任し、日本の政府関係者やビジネスリーダーに向けたアジア地政学研修を同校教授陣とともに実施する。
著書に『君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバルの覇者をめざす教育」の最前線から』などがある。