社会保障・雇用・労働
「機会の不平等」を被る「貧しい子ども」が、増えている。彼らを救う政策とは?
いま優先すべきは「子育て支援」【第3回】

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増えてきた「子どもの貧困」

 さて今度は、一体改革を、「機会の平等」という別の観点から検証してみよう。
日本では、1980年代以降、高齢者の貧困は大幅に減ってきた。しかしその裏で、じつは、子どもの貧困が、じわじわと増えている。

 たとえば、65~69歳の高齢者の相対的貧困率(所得が、全人口の所得の中央値の半分未満である者の割合44)は、1984年には約11%だったが、1994年には約8%、2004年には約6%にまで下がった。それに対して、5~9歳の子どもの相対的貧困率は、1984年には約5%だったが、1994年には約6.5%、2004年には約7.5%にまで上がった。つまり今日では、5~9歳の貧困率が、65~69歳の貧困率を上回っているのである45

 高齢者の貧困率が下がった原因は、主に、「高度経済成長」と「現役世代が費用を負担する賦課方式の社会保険(老齢年金・医療保険・介護保険)」にあるだろう。貧困率が大幅に下がった世代(1944年以前生まれ)は、高度経済成長期に働いて「総中流」化していった世代だ。彼らが25~50歳のとき、経済成長率は平均4%を超えており、実質賃金は実に5倍以上に上昇した46。またその世代は、賦課方式の社会保険で「得」をする「1950年以前生まれ世代」47と、ほぼ一致する。

 では、近年の子ども(主に1980年以降生まれ)で貧困率が上がった原因は何か。それは、高齢者の貧困率が下がったのと逆を考えればいい。つまり、彼らの親たち(主に1955年以降生まれ)が25~50歳のとき、経済成長率は平均3%に届かず、実質賃金は高くても3倍にしか上昇しなかった48。おまけにその世代は、賦課方式の社会保険で「損」をし始めた世代でもある49。彼らの貧困率が上がることで、彼らの子どもたちの貧困率も上がったのである。

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